身長167cmの大エース 
ヤクルト石川雅規は男が惚れる男

【プロ野球特別読み物】
〔photo〕Wikipediaより

エースは背中で語る——。首位を争うヤクルトの石川雅規は、迷いない決断で窮地のチームを救い、上昇気流に乗せた。体格に恵まれないハンデを糧に、エースにのぼりつめた男の生き様に迫る。

どんなときでも逃げない

一時は最下位に沈む低空飛行をしていたツバメ軍団が今、セ・リーグ首位争いの中心にいる。その陰に、小さな大エースの男気があった。

身長167cmの左腕エース・石川雅規(35歳)は8月20日、DeNA戦(横浜)で敗戦投手となり、チームの勝率も5割に戻った。

その試合後のことだった。高津臣吾投手コーチから「中4日で巨人戦は行けるか」と打診されると、石川は即答した。

「中3日でもいけます」

8月19日、今季途中から一軍に昇格し、7戦6勝と好調だった山中浩史が大胸筋を痛めて離脱。先発陣の駒が足りなくなっていた。

そんなチーム状況を、石川は痛いほどわかっていた。今季初めて中4日で投げた8月25日の巨人戦。石川は8回途中2失点で勝利投手となった。

「意気に感じてマウンドにあがりました。初回からいけるところまで全力で投げた結果です」

評論家の宮本慎也氏は元チームメートの石川をこう讃える。

「この1勝は、単なる1勝ではありません。石川の力投はチームの雰囲気自体を変えるものでした。実際、その闘争心が翌日先発した小川(泰弘)にも伝わった」

8回途中まで無失点に抑える好投を見せた小川は試合後、「石川さんが今季初の中4日で、素晴らしい投球をした。だから意気に感じて投げました」と語っている。ヤクルトは翌27日にも勝ち、巨人を3タテ。一気にペナント争いの「主役」に躍り出た。宮本氏が続ける。

「石川は投げる球自体は、まったくすごくない。他球団のエースと直接対決して、勝つ可能性が高いか、と言ったら、必ずしもそうではないと思います。それなのに、彼は通算130勝以上している。そこに石川の真骨頂があるんです。