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財務省よ、国民を欺くな 
たった4000円の「還付金」で増税の痛みが軽減できるワケがない!

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ダマされてはいけない

消費税率の10%への引き上げと同時に導入することが公約になっている、「軽減税率」の導入案がやっと姿を現した。自民、公明の連立与党が財務省に作らせたもので、対象は「酒類を除く飲食品」。「精米」とか「生鮮食品」といった他の案に比べれば大盤振る舞いのように映る。

しかし、騙されてはいけない。この案は、消費税の欠陥である逆累進性の緩和や、痛税感の解消という触れ込みには程遠い。

問題は、我々がまだ見たこともない「マイナンバー(税と社会保障の共通番号)」カードを持ち歩いてポイントを貯め、後から還付を申請するという面倒臭さだけではない。

「消費税の2%分を還元」と言いながら、還付額に上限を設け、雀の涙しか還付しない仕組みを目論んでいるのだ。

総務省の家計調査をもとに計算すると、例えば、一人世帯の独身者は年収100万円未満でも30万円以上を食品購入に費やしており、本来なら6100円強の還付を受けられるはず。ところが、問題の上限に阻まれ、わずか4000円しか還付されないのだ。

しみったれた軽減税率と引き換えに、われわれ国民は、消費増税を受け入れられるだろうか。きっちり検証してみよう。

そもそも軽減税率とは?

そもそも軽減税率とは何か。

今回のケースで言えば、消費税の(標準)税率が10%に上がる中で、生活必需品などに対象を限定し、低い税率(軽減税率)で購入できるようにすることだ。

欧州では、日本の消費税に相当する付加価値税が早くから普及しているが、その標準税率は20%前後と高い。そこで様々な商品やサービスを対象に、軽減税率を導入している。例えば、英国の場合、標準税率は20%だが、食料品や新聞・雑誌には0%の軽減税率が適用される。

フランスも標準税率は20%だが、食品に5.5%、新聞・雑誌に2.1%の軽減税率を設けている。欧州では政策的に自国製品の消費を促すために、生活必需品だけでなく、自国産の農産品などに軽減税率を適用することも珍しくない。

所得税と違い、消費税は捕捉が容易で、脱税を防ぎやすい。このため、相対的な消費税の拡大は世界的な流れになっている。

しかし、消費税は所得額に関係なく万人に同じ額が課税されるため、低額所得者に過酷な税だ。この点が、所得額が多くなれば高い税率を適用する累進課税制度のある所得税と大きく異なる。

この逆累進性の強さという消費税の欠点を緩和する効果があるとされるのが、生活必需品などを対象にした軽減税率なのだ。