「次のジョブズ」はこの男だ! 未来を創る男イーロン・マスク、ミサイルを買いにロシアへ飛ぶ
「次世代のジョブズ」イーロン・マスク

高性能の宇宙ロケットや、スタイリッシュな電気自動車をイチから創り上げ、いまや世界中から注目を集める44歳のイケメン経営者イーロン・マスク。その彼の半生を称賛だけでなく批判的な側面からも追った本人公認の伝記「ELON MUSK」がベストセラーになっている。日本語版「イーロン・マスクの発売にあわせて、興味深いエピソードのいくつかを特別に紹介したい。

初回は「ミサイル」を買いにロシアへ飛んだ時の模様をどうぞ。


モスクワへ旅立つ

2001年10月、マスクとカントレル、さらに大学時代からの友人アデオ・レッシの3人でモスクワに旅立った。今回、レッシはマスクの付き添い役だ。親友が冷静さを失いそうになったら注意するお目付役である。

当初、マスクの友人たちは、ロケット爆発の映像を集めたビデオを見せ、なんとか説き伏せて金の無駄遣いを阻止しようとした。だが、マスクの決意は固かったため、レッシがロシアに同行し、マスクの暴走を食い止めようとしたのだった。

カントレルが語る。

「真剣に心配してましたよ、彼は。『イーロンのやっていることはおかしい。慈善事業だかなんだか知らないけどイカれてる』とね。それでもロシアには同行してくれたんですよ」

もちろん違法なワケではない。ソ連崩壊後のなんの縛りもなくなったロシアに足を運び、潤沢な資金を持つ金持ちが自由市場で宇宙ミサイルを堂々と買おうというだけの話だ。

マスク一行にはロケット科学者のマイケル・グリフィンも合流し、4ヵ月の間にロシア側関係者と3回会談した。ロシアの宇宙関連企業との会談の機会を何度か持った。そのうちの1社、S・A・ラヴォーチキン記念科学製造合同は、ロシア連邦宇宙局や商業ロケット打ち上げ企業のコスモトラスに、火星・金星探査機を供給した実績がある。

どの会談もロシア流の儀礼にのっとって同じ手順で進んだ。ロシアでは朝食を抜くことが多い。だから11時ごろにオフィスで早めのランチをみんなで一緒に楽しむ。出席者は、テーブルいっぱいに用意されたサンドウィッチやソーセージをつまみながら、1時間ほど雑談を交わす。もちろん、ウオッカも振る舞われる。

そのうちグリフィンがしびれを切らすのが毎度の流れだ。

「あの人は、気が短いんですね。周りを見回して、いつになったら本題に入るのだと不満を漏らすんです」とカントレル。

だが、それでものらりくらりと進む。ランチが終わると、タバコやコーヒーでこれまたたっぷり休憩だ。