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年間5万人 就職できない有名大学
「第3の入学組」の悲劇 AO入試合格組

大手企業人事担当者も要マーク
週刊現代 プロフィール

「大学側の一方的な都合です。現在、中堅以下の私大では約7割が一般入試以外の入学。この層は試験が苦手、勉強が嫌い、もしくは勉強をしない。推薦組は、部活や生徒会での実績などの評価があるが、AO組にはそれすらない。従来だと大学に入れなかった層と考えられます」
(前出・原氏)

 '09年は、高校卒業者のうち4年制大学に入学する者がついに5割を超えた。つまり2人に1人が大学に入る時代になったのだ。そのうち、推薦とAO入試による入学者は半数を超え、現在、AO入試組は約5万人と言われている。

 少子化で学生数が減っているのに大学の数が増え、とにかく学生を集めたいという大学が山ほどある。なかには、面接当日に合格を通知したり、ある大学では一年中AO入試を実施するという青田買いが当たり前のように行われている。

 人集めに躍起になる大学は、学生の数を見るだけで質を見なくなってしまった。学生の質が落ちるのがわかっていながら、大学がAO入試を拡充する理由は定員確保ともう一つ、偏差値の維持だ。AOで多く採用すれば、一般入試の枠が少なくなり、偏差値が上がりやすくなるという単純な理屈である。

 昨年3月、これを問題視した文科省は、'11年度からAO入試の願書受付は8月1日以降にし、各種条件を課す通達を出した。が、あくまでガイドラインのため、糠(ぬか)に釘だという指摘が多い。

私学の雄は"無試験だらけ"

 こうした大学全体の"無試験化"が進むなか、有名大学もその波に流されている。HRコンサルティング会社「ニッチモ」代表の海老原嗣生著『学歴の耐えられない軽さ』(朝日新聞出版)によれば、早稲田大学の看板学部、政治経済学部の入学者に占める一般入試の割合が年々下がり、'09年度では、わずか39.9%。他学部も、法学部32.6%、商学部39.8%といずれも4割を切っているのだ。

「推薦入試、近年のAO入試枠の拡充に加え、早大学院や早実など、付属校からの入学者がかなりの割合を占めます。国際教養学部などの学部を増設しても、総学生数は増えていないため、一般入試の割合が減っています。これでは、私大の雄としての看板を保つのは難しい」(早大関係者)

 AO入試組とともに、推薦組、付属組も企業からは警戒されている。意外なところでは、名門高組も警戒の対象だという。

「採用側は大学名だけでなく、中高大のヒストリーを見るようになってきています。付属高出身はもちろん、開成、麻布、桜蔭などの名門高校出身者も警戒されつつある。彼らは企業に入った時に上司と融和できるのかという問題を抱えている。また、東京の私立出身の学生は受験勉強もマニュアル的にやるので、どこかナメているところがあるんです。

 いま、企業が最も欲しがる人材は、公立中学~地方の名門公立校~一流大学という経歴の学生です。さまざまなレベルの子が集まる公立中学で勉強を続けることは、タフでないとできませんから」(前出.河本氏)

 少子化、大学増加が拍車をかけたAO入試の拡大化。大学生たちの悲劇はまだ終わらない。