民主党
鬼怒川決壊
〜常総市の失敗と、治水予算を2割削った民主党政権の責任を考える

【PHOTO】gettyimages

まず、消費増税にひと言モノ申したい

先週は、鬼怒川の大氾濫で大変な一週間だった。

そんな中で、消費税の還付が話題になっている。集中豪雨災害の行政責任を考える前に、まずはこの件について一言触れておきたい。

先週の本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45145)で言及したときは、トルコG20サミットで麻生財務相が発言しか内容しか情報がなかったが、その後の情報を加えて、少し補足しておこう。

1)2017年4月からの消費増税はマスト

2)その際、「酒類を除く飲食料品」の消費増税2%分に相当する給付金を事後的に払う。

3)給付金の事後支払の際には、マイナンバーを利用して給付額を算出する。ただし、上限を4000円/年とする(この上限は上乗せの可能性あり)。

まず、1)が最大の問題である。はっきりいって、いまの日本経済の状況を考えれば、こんなことをやっている余裕はない。その上で、2)はいいが、3)はやり過ぎだ。

還付金は、高額所得者も恩恵を受けられる軽減税率と違って、低所得者層に恩恵を絞れるので、政策的には望ましい。もっとも、①簡素な給付(所得に応じて還付額を推計)、②領収書を使って還付、③マイナンバーカードを使って還付、という三つの方法がある。

①から③にかけて、現時点では実施コストが高まり問題点が多くなる。世界を見渡しても、実施されているのは、せいぜい②までである。もっと簡単な方法があるというのに、財務省は野心的にも③を提示して、わざと批判を受けているようにもみえる。

財務省にとって、2017年4月からの10%への消費再増税が最優先であり、この還付案は極論すれば潰れてもかまわない。もしこの還付案が通れば、還付のための「軽減ポイント蓄積センター(仮称)」が作られて、天下り先が一つ増えて良かった、という程度の話だ。10%への消費再増税のためには、上限の4000円が1万円になってもかまわないだろう。

さらに、マイナンバーの交付が間に合わないという話も出てきた。結局、当面は①にならざるを得ない。

問題点が多いことを承知の上で、財務省はなぜこんな無様な案を出してきたのか。おそらく、先週の本コラムでも書いたように、いま世界の関心が集まっている中国経済の問題から、新聞などの報道機関の目をそらす狙いがあったのではないか。中国経済に関心が集中すると、「消費増税をやってる場合なのか」という反対論が出てくるからだ。

ただ、財務省のアテは外れてしまったかもしれない。中国の経済問題から話題をそらすことには成功したが、消費税問題はあまりに国民の関心が高く、このまま、2017年4月に上げてもいいのかという本質的な疑問が持ち上がってきたからだ。

筆者は、中国の経済情勢などから再増税はとても無理だと思っているが、弱者対策もまともできない消費税の根本的な問題点が、図らずも還付金問題で浮き彫りになった。

さらに、医療など非課税取引であるがゆえに消費増税による仕入れコストアップを添加できないという「非課税問題」や、現行の帳簿方式によって中小事業者は「みなし仕入率」を採用することができるため、消費増税が事実上補助金となる「益税問題」となるような問題も顕在化してくるだろう。

こうした諸問題を回避するためには、2017年4月からの消費増税をスキップするしかないはずだ。その上で、つまり10%への消費再増税をあきらめて、2014年4月からの8%への消費増税の罪滅ぼしとして還付金を行えば、政策として評価できるだろう。

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