売れない役者くずれが総理大臣に。国家の一大事を影武者が救えるか。「理想の政治」を問う社会派エンタメ小説

インタビュー「書いたのは私です」中山七里
週刊現代 プロフィール

種明かしをすると、この小説は章立てにあるように、慎策の戦う相手を「閣僚」「野党」「官僚」「テロ」「国民」と順に大きくなるよう構成しています。

この小説のプロットが現在の日本の政治状況と重なったのは、作家の想像力というより、日本にとっての危急で避けられない課題が、テロ対策と集団的自衛権だからなのでしょう。この重なりは、偶然というより必然かもしれません。

―「この国を希望ある国に変える」と演説する慎策。何度も胸のすく思いがしました。

本書で書いたことには僕の政治信条などは特に入っていなくて、あくまで国民の最大公約数的意見のつもりです。

ポピュリズム、大衆迎合がよいとも思いませんが、逆に政治が国民感情をまったく無視するのはおかしいだろうとも思います。

本来、議会制民主主義は、国民一人ひとりが選んだ代議士が国民の思いを代弁するところで成立しているのですから、代議士は国民の多数派の意見に寄り添う姿勢も必要です。しかし、現実の政治の実態は国民と乖離してしまっている。

この小説は、ある意味、日頃皆さんが感じている鬱憤を書いたようなところがあります。そこを楽しく読んでいただけたら望外の喜びです。

なかやま・しちり/'61年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し'10年にデビュー。他の著書に『切り裂きジャックの告白』『贖罪の奏鳴曲』『嗤う淑女』『ヒポクラテスの誓い』など

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『総理にされた男』
NHK出版/1600円

総理の“替え玉”にされた売れない舞台役者が国民の怒りと願いを代弁する。圧巻の予測不能な展開!読み終えた後の爽快感は必至!人気作家・中山七里が政治の世界をわかりやすく、感動的に描いた、ポリティカル・エンターテインメント小説!

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(取材・文/窪木淳子)
『週刊現代』2015年9月12日号より