[野球]
上田哲之「甲子園に愛された選手」

〔photo〕gettyimages

甲子園で期待に応えた清宮

 たまたまつけたテレビのチャンネルが「リトルリーグ世界大会」の中継に合っていた。見るともなく見ていると、日本代表のやや小太りのエースが、ひとりだけ抜きん出て速いボールを投げる。

 ほうー、すごいじゃないのと思っていたら、こんどは打席に入って、特大のホームラン。これは、飛距離94メートルの大会史上最長アーチと報道された。

 そう。あの清宮幸太郎(早実)が、東京北砂リトルでリトルリーグ世界一になったときの話である。

 彼はあのとき「和製ベーブ・ルース」と呼ばれた。投げては豪速球、打っては大ホームラン、というだけでなく、体型や容姿も、どこかベーブ・ルースを彷彿させるものがあったのでしょうね。

 あの子はどこの高校に行くのかな、と思っていたら、早稲田実業だった。で、入学してから、今夏の甲子園での活躍までは、もうご承知のとおり。

 ただ、今夏の甲子園を見ていると、リトルのときの清宮くんのほうが振りが鋭かったような気がするのは、思いすごしでしょうかね。ともあれ、中村剛也(埼玉西武)を左にしたような感じとでも言うのか、やわらかい構えから、自然にステップしてスイングする。

 東海大甲府戦で、菊地大輝の真ん中に入るチェンジアップを右中間へ放り込んだ一発など見ると、つい、甘いから打てた、とへらず口を叩きたくもなるが、やはり、のがさずホームランにする能力は、すばらしいと言うべきだろう。

 早実は、決して西東京で圧倒的に強かったわけではない。それでも、1年の夏から甲子園に出場して活躍するのだから、彼は「甲子園に愛された選手」と言える。

 日本野球の場合、野球選手は「甲子園に愛された選手か、愛されなかった選手か」という二分法が成り立つ。愛されなかった大選手の代表例をいえば、たとえば野茂英雄があげられるだろう。