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後悔しない「遺品」の片付け方

田舎の実家、衣類、想い出の写真……
〔PHOTO〕gettyimages

3年がかりでようやく遺品を片付けた、60代の男性は言う。「整理するたびに母を想い出し、つらかった」。遺品整理は心と身体に負担のかかる作業だ。「前向きな整理」のための心得と方法を探る。

本当に必要なものですか?

母親が亡くなり、四十九日が過ぎた6月。都内に住む長谷川宏光さん(65歳・仮名、以下同)は、妻と共に山形県の実家へと足を運んだ。

認知症の父親は3年前から実家近くの老人ホームに入っている。二つ年下の弟は、自分と同じように都内に家を持っているため、実家には誰も住む予定がない。そこで、いよいよ遺品整理を始めようと考えたのだ。

長谷川さんが語る。

「しかし、いざ始めようとなったら、何から手をつけていいのかわからなくなってしまいました。捨てるものからゴミ袋に入れていこうと思ったんですが、食器や衣類を手にするたびに『これはまだ使えるんじゃないか』『これは両親が大事にしていたな』といったふうにいちいち悩んでしまう。

では貴金属などの貴重品だけでもまとめておこうと思ったんですが、それもどこにあるかがわからない。結局、3ヵ月経った今でも整理はまったく進んでいません」

親の家を片付けなければならないが、気持ちの整理がつかず、またあまりの作業量に気が滅入り、手がつけられない。そんな悩みを抱えている人は多い。家の中を見渡すと在りし日の親の姿が浮かぶし、自分の幼少期の想い出がつまったものを捨てるのはやはりしのびない、と。

そこで焦ってはいけないと、遺品整理士認定協会理事長で『プロに学ぶ遺品整理のすべて』の著者・木村榮治氏がアドバイスする。

「故人への思いが強くて踏ん切りがつかない状態だと、遺品整理はただつらくて悲しい作業になってしまいます。遺品の整理とは、心の整理でもある。遺品を片付けていくなかで、気持ちにも整理がついていくのが理想ですが、最初は途方にくれてしまう人が多いのが現実でしょう。