[ボクシング]
杉浦大介「秋の3大ビッグファイトを占う」

~メイウェザー、ゴロフキン、コット、カネロが出陣~
メイウェザーの引退試合(?)から、今秋は注目ファイトが相次いで開催される。Photo By Esther Lin/SHOWTIME

 無敗の5階級制覇、フロイド・メイウェザーの次戦が約1週間後に迫ったが、アメリカ国内にも独特のBuzzは漂っていない。対戦相手が格下のアンドレ・ベルトとあれば、それも仕方ないのだろう。しかし、メイウェザーが今戦後の引退を表明していることもあり(ほとんど誰も信じていないのが事実ではあるが)、ファイトウィークに入ればそれなりに盛り上がるのではないか。

 そして、この一戦を皮切りに、アメリカ国内で秋のビッグファイトシリーズが幕を開ける。ゲンナディ・ゴロフキン、ミゲール・コット、サウル・“カネロ”アルバレスといったトップスターが次々とビッグファイトに臨み、ファンをエキサイトさせる季節になりそうである。

 2015年が終わる頃、最大のウィナーとして記憶されるのは誰か。今回は注目の3大戦の見どころを探り、勝敗の行方を予想してみたい。

メイウェザー、お決まりの判定勝利か

9月12日 ラスベガス MGMグランドガーデン・アリーナ
WBA、WBC世界ウェルター級タイトル戦

WBA、WBC王者
フロイド・メイウェザー(アメリカ/48戦全勝(26KO))

WBA暫定王者
アンドレ・ベルト(アメリカ/30勝(23KO)3敗)

 稀代のディフェンスマスターが、過去6戦で3勝3敗と停滞する元プロスペクトの挑戦を受ける。メイウェザーの敗北どころか苦戦の要素を探すのも難しく、おかげで米国内においてこのイベントの前評判は極めて低い。

 ハイチ系アメリカ人挑戦者の売り物はパワーと身体能力。ときに無鉄砲なまでに打ち合いを好むベルトにもパンチャーズチャンスはゼロではないが、無敗記録に尋常ではない執念を燃やすメイウェザーの方に油断はあるまい。序盤の相手の攻勢を容易に見切った上でポイントを積み重ね、無敗王者が勝ちパターンに持ち込む姿が目に浮かぶようである。

 ベルトの打たれ脆さを考えれば、メイウェザーがカウンターでダウンを奪うシーンも想像できる。その気になれば2011年以来のKO勝利も十分に可能だろう。ただ、メイウェザーは最後まで慎重に戦い、お決まりの判定勝利が有力か。

ベルトが勝った場合、東京ドームでのマイク・タイソン対ジェームス・ダグラス戦以来、最大の番狂わせとして記憶されるだろう。Photo By Esther Lin/SHOWTIME

「アンドレ・ベルトはエキサイティングでタフな選手。彼は倒れても立ち上がってくる。僕も限界まで追い詰められるだろう」

 発表会見の際、メイウェザーはそう語ってはいた。しかし、強敵には侮辱的な言葉を吐き、格の落ちる相手は絶賛してファイトの商品価値を上げようとするのが、この選手の常套手段。対決直前まで挑戦者に対して好意的なことが、ベルト戦の魅力の乏しさを何よりも物語っているようでもある。

 まずは順当にメイウェザーが圧倒的なポイント勝利を飾り、ファイト後に、とりあえず引退発表。そして、年末から来春にかけて復帰の意思を表明し、通算50連勝目を大イベントにすべく動き出すというのが最も妥当なシナリオではないだろうか。

予想: メイウェザー、大差判定勝利