中国
気分はもう「皇帝」!?
「抗日勝利70周年軍事パレード」に見た習近平の"哀しきアナクロニズム"

 
〔PHOTO〕gettyimages

おなじみの「皇帝スタイル」を貫いた習近平主席

まさに習近平の習近平による習近平のための壮大なショーだった。

9月3日北京時間の午前9時、「中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利70周年大会」が挙行された。習近平主席が、今年最大のイベントと位置づけた、政権の威信を賭けた一大軍事パレードである。私は中国中央テレビのインターネット生中継で、2時間39分にも及ぶ一部始終を見届けた。

まずは、習近平主席と彭麗媛夫人のもとへ、各国の来賓たちがひと組ずつ赤絨毯を歩いて進み出る儀式だった。この儀式は天安門広場でやるのかと思っていたら、習近平主席は故宮の太和殿の中庭でやった。これは伝統的な「皇帝スタイル」である。

清朝までは、アジアには「冊封体制」が機能していた。これは中国という宗主国と、周辺職という属国による緩やかな主従関係のことだ。

毎年の春節になると、各国の使節団が皇帝のご機嫌伺いにやってくる。使節団は太和殿の中庭に立ち、皇帝に献じる特産品を積み上げる。

皇帝が姿を見せると、各国の使節団は、「三跪九叩の礼」で皇帝に敬意を示す。すなわち、1回跪いて3回頭を地面に擦りつけるという動作を3度繰り返すもので、各国が中国の属国であることを示す儀式だった。

今回の各国代表たちは、「三跪九叩の礼」こそしなかったが、中央にでんと立って動かない習近平夫妻のもとへ、赤絨毯の長い道を進み出て、挨拶をする。習近平主席は、中国の時代劇でお馴染みの「皇帝スタイル」を貫いたのである。

通常、このような儀式では、主賓である習近平夫妻は、外国の賓客をエスコートしなければならない。ところが習近平主席は、皇帝然としているから、無頓着である。そのため、本国や日米などからの反対を押し切ってやってきた朴槿恵大統領などは、習近平夫妻と握手した後、どこへ向かえばよいのか分からず、間違った方向へ進んでしまった。

習近平主席は、唯一の例外として、プーチン大統領を、中庭中央で迎えて握手した後、自ら控え室まで案内した。だが興味深かったのは、習近平主席が苦手な作り笑いを必死に浮かべて、プーチン大統領との「老朋友」ぶりを演出しようとしているのに、プーチン大統領は一度も笑顔を見せなかったことだ。かったるそうに歩いてきて、取ってつけたような握手をして、さっさと歩き出してしまった。

その間も、中国中央テレビ(CCTV)のアナウンサーは、朗々と感動調で語り続ける。

「われわれは70年前の偉大なる勝利に想いを馳せつつ、習近平総書記を指導者とする党と国家によって、中華民族の偉大なる復興という『中国の夢』の実現に向けて進んでいるところであります」

「3000年の歴史を持つ北京で、今日は初めての誕生日のようなものです」