ウクライナ問題よりもっと深刻な事態か? 米ロ首脳会談の可能性が浮上した裏事情

佐藤優メルマガ 文化放送「くにまるジャパン・発言録」より
ロシアの地対空ミサイル S-300〔PHOTO〕gettyimages

伊藤: 「9月に米ロ首脳会談か、ウクライナ情勢打開探る」。

共同通信によりますと、アメリカとロシアの首脳会談が行われる可能性があることがわかりました。これはロシアのラブロフ外相が8月19日、明らかにしたもので、プーチン大統領が9月、アメリカ・ニューヨークで開催される国連総会に出席し、滞在中にオバマ大統領と会談する可能性があるということです。

ラブロフ外相は19日、ウクライナから編入したクリミア半島のセバストポリを訪れた際、首脳会談の可能性について記者団に対し「アメリカから対話継続のシグナルがあれば、大統領は前向きに検討するだろう」と述べました。

会談が実現した場合、ウクライナ情勢をめぐって悪化した関係改善の糸口を見いだせるかが焦点となります。

邦丸: これは、ニューヨークでの国連総会に出席して、オバマ大統領とプーチン大統領、米ロ両首脳会談があるかもということなんですが。

佐藤: ですから、フルスペックの米ロ首脳会談ではないんです。フルスペックというのは、ワシントンに行かなくてはいけないんです。要するに、ニューヨークでやるというのは、実はジュネーブでやってもジャカルタでやっても一緒なんです。国連総会というマルチの場で偶然会ったからやりましょうという話なんですね。ですから、ワシントンに行かないということで、公式性はない。

邦丸: 恐らく声明は出さないということですか。

佐藤: もちろんです。例外的に出す場合もあるんですけれど、首都を訪れるか、それ以外かでぜんぜん違うんです。国連のときに会うというのは、非常にレベルの低い会い方なんです。関係が悪いときの会い方なの。たとえば、大韓航空機が撃ち落とされて、日本とソ連の関係が断絶しているときも、外相会談は国連の場ではやったんですよ。それぐらいの話。

今回の原因は何かというと、米ロ関係でウクライナがどうということよりも、これはちょっと裏の世界の話なんだけれども、7月末にイランのイスラーム革命防衛隊のなかにコッズという、テロあるいは外国での要人暗殺を専門にやる裏組織があるんですね。そこのソレイマニ司令官、これは一昨年までは誰も顔を知らなかったんです。去年からバンバン、イランのテレビに出てくるようになった。イスラーム国との戦いの中心に立っている責任者。これがロシアに渡ったらしい。

邦丸: どういうことですか。

佐藤: ロシアから地対空ミサイルのS-300の買い付けをやっているらしい。

邦丸: イランとロシアが接近しているということですか。

佐藤: 接近しているんです。これを止めるということだと思いますね。

邦丸: ニューヨークの国連総会でオバマさんが「おいおい、あまり無茶するな」と言うってことですか。

佐藤: そうなんです。ですから、今月13日にケリー国務長官がラブロフ外務大臣に電話しているんですよ。「コッズが行ったって、本当なのか?」と。「オレたちはウラが取れていないんだ」と正直に認めて、「そういうことなら、大変だぞ」と。それから18日には、アメリカ国務省のカービー報道官が、「S-300システムを輸出するらしいな」と。これはものすごくよくできているロシアの地対空ミサイル防衛システムですから、そうしたらイランの力がものすごく強くなっちゃいますからね。「国連の制裁決議には反していないけれど、やめてほしいんだ」という話をした。

問題はこのイラン-ロシアの軍事協力ですよ。それを止めるためには、なんとか今、協議しないと間に合わないから。ウクライナどころではない。

・・・この続きは、佐藤優「インテリジェンスの教室」Vol.067(2015年8月26日配信)に収録しています。

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