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止まらない株価乱高下
「1万9000円死守」のために、安倍官邸が打つ秘策の一手とは

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「クジラが動いた」

東京株式市場の日経平均株価の乱高下はとどまるところを知らないようだ。中国の景気減速懸念に端を発した世界同時株安は、日本を筆頭に欧米諸国だけでなく東南アジア諸国に及んでいる。

日経平均株価は9月3日時点で、1万9000円を大きく割り込んだ1万8182円。中国の習近平政権のなりふり構わぬ株価下支えにもかかわらず、上海株式市場では約80兆円が水泡に帰した。

奇しくも『日本経済新聞』(3日付朝刊)の「スクランブル」欄に川崎健証券部次長が「再浮上する『クジラ』―年金vs.海外、1万8000円の攻防」と題した記事を寄せている。

同記事に次のような箇所がある。

「8月26日も同じような噂が飛び交った。GPIFと公務員・教職員が加入する3つの共済組合という『4頭のクジラが計2000億円買った』という噂まで流れたようだ。先の情報源によると、そこまでの規模ではないが、確かにクジラは(9月2日の東京市場の前場で)動いていたという」

少し説明が必要だ。公的年金積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF。三谷隆博理事長=元日本銀行理事)は8月27日、今年4~6月の運用で2兆6489億円の収益を得たと発表した。株高・円安による黒字は5四半期連続となった。

約144兆円ある年金積立金全体のうち運用資産の比率は国内株式23.39%、国内債券22.32%であり、運用資産別の収益額も国内株式が最も多く1兆8657億円で外国株式は6987億円、外国債券1139億円であった。

要は、2014年10月の運用改革、そして今年1月に官邸人事で運用責任者(CIO)に凄腕ブローカーとして知られた英コラー・キャピタルの水野弘道氏を据えてからの国内株式シフトが奏功したということだ。

もちろん、GPIFは今回の株安ショックで、多額の評価損が発生しているのは疑う余地がない。仮にGPIFが大きな損失を出し資産運用に躓けば、極論すれば国民に「年金減額」という形で影響することもあり得る。

だから、株価暴落の第一報を知らされた官邸内に動揺から顔面蒼白になった者が少なくなかったと言われるように、「株価が命綱」とされる安倍政権は「対岸の火事」と平静でいられるわけがないのだ。