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この「円高」に強い会社、弱い会社
チャイナ・ショック!世界経済の「明日」を読む (4)
ラオックスは、敏腕中国人社長のもと躍進〔PHOTO〕gettyimages

アベノミクスによる円安で、企業の業績は見かけ上、押し上げられてきた。しかし、人民元切り下げなどで、今後は一気に円高が進むかもしれない。三人のアナリストが注目企業の明日を占う。

元切り下げで一気に円高に

真壁昭夫 アベノミクスで円安は進み、企業の業績は数字上、押し上げられました。ジャッキで持ち上げたように上がっています。しかし、これ以上は円安が進まない可能性が高い。実際、8月24日には1ドル=116円をつけました。経営者も慎重で、「もう円安が続くとは思っていない」と言う人が非常に多い。

まかべ・あきお/信州大学経済学部教授。第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)などを経て、'05年より現職

植木靖男 確かに円安の影響は大きかった。しかし、中国が元を切り下げましたし、これから通貨安戦争になるという見方もあります。そうなると、一気に円高が進む可能性もある。円高になれば各産業界に様々な影響が及びます。とくに影響が大きいのは、輸出に大きく依存する、自動車業界や電機業界でしょう。

うえき・やすお/証券アナリスト、株式評論家。元日興證券エクイティ本部部長、ラジオ出演、講演会などで人気を誇る

真壁 円高に強いと言えば、本田技研工業です。部品調達の現地比率が高く、自動車業界のなかでは為替の影響を受けにくい。しかも、ロボット工学に強みがあり、航空機も手掛けるなど、イノベーションの気風がある。こういう企業は、混乱の時代にも生き抜いていけると思います。

村瀬智一トヨタ自動車は、円安の恩恵を大きく受けてきたので、伸びは期待しにくいでしょう。ただ、為替の影響の少ない国内市場をうまく開拓できれば話は別。国内で燃料電池車が普及すれば多少期待できます。

むらせ・ともかず/株式会社フィスコアナリスト。大東証券(現みずほインベスターズ証券)のディーラーを経て、'99年より現職

植木富士重工業は現在、スバルのブランド力が米国でズバ抜けており、現地のディーラーが「まったく生産が足りない」と文句を言うほど。'15年3月期も過去最高益を出しました。

ただ、為替のリスクに加えて、米国の景気の問題がある。米国はリーマンショックの'08年から回復し続けて、もうピークを超えたと言われていますから、楽観視はできません。