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日本株、もう売るべきなのか?
〜1万5000円か、再びの2万円超えか

チャイナ・ショック! 世界経済の「明日」を読む (2)
追加緩和を狙う黒田と利上げ時期を計るイエレン〔PHOTO〕gettyimages

アメリカの機関投資家たちは、すでに日本株を見放している!? 日本株はこのまま持っていても大丈夫なのか? 三人の経済のプロが緊急討論!(【第1部】クルーグマンの独占インタビューはこちら)

1週間で1年分の値動き幅に

豊島逸夫 それにしても、8月24日、25日の下げはものすごかった。世界中の金融マンは固唾を飲んで株価ボードを見守っていたに違いありません。

今回の大暴落の主な原因はいうまでもなく、アメリカの利上げに対する警戒感が高まっていたところに、中国株のショックが重なったことです。

いまウォール街の最前線では過去に利上げを経験したことのない若い世代が働いています。彼らは、わずか0・25%とはいえ、金利が上がるということに対して未知なるものへの恐怖心を抱いている。この恐怖が市場心理を悪化させたんです。

としま・いつお/三菱銀行・スイス銀行を経て独立、豊島逸夫事務所代表。国際金融、マクロ経済動向、金相場などに詳しい

中原圭介 強烈なダブルパンチでしたね。これだけグローバル経済が進んでいると、日本株も世界的な株安とは無縁でいられませんので、当然、暴落した。6日連続の下落で、2万1000円近くをつけていた日経平均は、約2800円も落ちて、1万8000円を割りました。日経225先物は2万700円から1万7100円くらいまで落としていて、振れ幅は3600円。これは通常の1年分の値動き幅です。それがわずか1週間で起こったのですから、驚愕しました。

なかはら・けいすけ/アセットベストパートナーズ所属。エコノミスト、ファイナンシャルプランナーとして多数の著書を執筆

石黒英之 25日には中国が追加緩和を発表し、火消しに走りました。中国政府は自国の経済成長が鈍化していくことをよくわかっている。それをいかにソフトランディングさせるのかが課題で、あまりに急激な景気悪化を招くと、政権転覆のリスクがあります。だから、金融緩和から財政出動まであらゆる手段を使って、景気悪化を食い止めようとするでしょう。

いしぐろ・ひでゆき/岡三証券・日本株式戦略グループ長・シニアストラテジスト。'04年入社以来、日本株情報・戦略に携わる

豊島 しかし、中国政府はマーケットを見くびっていた面もある。7月に株が下がったときには、官製マネーで支えようとしたのですが、そんな力業をずっと続けられるはずがありません。

そもそも中国株は市場参加者のほとんどが個人投資家で、しかも初心者です。政策よりもビギナー心理で相場が動く。

たとえ政府が大手株主に売りを禁じるような施策を講じたとしても、それを上回る勢いで個人投資家が恐怖に襲われて、群集心理で一気に逃げ出すようなことになる。習近平も相場だけは権力で抑え込むことができなかったということです。

中原 今回の株価をさらに押し下げた原因に、天津の大爆発があります。天津港は世界4位の貿易港で、これにより、中国の輸出が滞ってしまいます。ここから家具や衣料、日用品など多くの商品が日本に輸出されていましたが、今回の事故で当然輸出は減るでしょう。

現在、中国政府は7%成長と発表していますが、実際の数字はそんなによくありません。おそらく今は5%以下の成長率でしょう。「7%成長をしていれば、格差は拡大しない」と政府が言い続けてきたので、表向きはそう発表しないと国民の不満が高まるのです。

石黒 アメリカの利上げや中国経済の失速という懸念は、昨年から言われていたことで、今に始まったテーマではありません。にもかかわらず、ここにきてこれほどの急落があったのは、こうした懸念を材料にして「ショック」を仕立て上げようとした人たちがいるということです。

端的に言えば、今回の急落の主犯はヘッジファンドの投機的な売り浴びせだと思います。いま、仕掛けてきているのはCTA(コモディティ・トレーディング・アドバイザー、商品投資顧問会社)と呼ばれるヘッジファンドたち。コンピュータを使ったプログラミング売買を駆使して、先物市場で機械的な売買を行う「怪物」です。

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