世界経済 アメリカ
米国の出口政策は成功するか? 
利上げに前向きなFRBと、追加緩和を促す「長期停滞論」のせめぎ合い

ジャクソンホール会議のオープニングレセプションに到着したスタンレー・フィッシャー氏(左) 〔PHOTO〕gettyimages

「年後半にインフレ率がしかるべき水準まで上昇する」

今週も世界の株式市場は大荒れである。もちろん、中国経済の先行き不安もあろうが、今週の株価調整のきっかけは、8月29日に開催されたカンザスシティ連銀主催のシンポジウム(ジャクソンホール会議)に出席したスタンレー・フィッシャーFRB副議長の、9月利上げの可能性に含みをもたせた発言であった。

フィッシャー副議長は、マクロ経済学の標準的な教科書を執筆するほどのアメリカ経済学会の大物であり、現在のFRBの金融政策にも多大な影響を与えている可能性が高い。

そのフィッシャー副議長が、中国経済の動向を注視する必要があるとしながらも、年後半にはインフレ率が上昇すると信じるに足る理由があり、インフレ率が上昇する可能性が高い状況下では、実際のインフレ率が目標値に到達する前に利上げを実施しても米国経済には大きな影響はない、という内容の発言を行った。

世界的な株式市場の混乱から、9月利上げを予想する市場関係者の割合は急低下していたため、この発言は市場に大きなサプライズをもたらした。

この「年後半にインフレ率がしかるべき水準まで上昇する」という見通しは、FRBだけではなく、イングランド銀行や日本銀行も共有している。そして、その理由が、原油価格の落ち着きや需給ギャップのマイナス幅の縮小である点も共通項である。

ただ、なぜ原油価格が落ち着くと予想されるのか等の判断基準がいまひとつ明確ではなく、正直いって、この楽観的な見通しに至った背景が、筆者にはどうしても理解できない(筆者個人の力不足もあるだろうが)。

IMFの会議で「長期停滞仮説」を提唱したサマーズ元財務長官(奥)。手前はバーナンキ前FRB議長 〔PHOTO〕gettyimages
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