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社長自らツイッターに反応! 「岩下の新生姜」で知られる岩下食品のユニークな広報戦略
岩下和了社長に聞く

らっきょう、生姜漬けのシェア日本一を誇る岩下食品。軽快なCMソングで知られる漬物『岩下の新生姜』がロングセラーを記録。ほかにも、新生姜の漬け汁で野菜や卵を漬けるレシピが流行るや、『岩下漬けの素』を出すなど、アグレッシブな商品開発で業績を拡大する。社長は岩下和了氏(49歳)。ツイッターで「岩下の新生姜」と書くと反応してくれる名物社長だ。

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いわした・かずのり/'66年、栃木県生まれ。'89年に慶應義塾大学経済学部を卒業し、住友銀行(現・三井住友銀行)を経て'93年に岩下食品へ入社。'96年に常務取締役、'04年から現職。『岩下の新生姜ミュージアム』は毎週木~日曜と祝祭日に開館。新生姜のほか『岩下の熟珠ピリ辛らっきょう』などの商品も同館で販売中

溺愛

弊社の新生姜ミュージアムは面白いですよ。数メートル大の『岩下の新生姜』のパッケージがあって、入ると新生姜になった気分で写真が撮れます。また、『ジンジャー神社』で健康を祈願していただいてもいいですね。『新生姜ソフトクリーム』や、新生姜をトッピングしたピザが食べられます。いえ、本当においしいんですよ!

利は元に

新生姜は、台湾でのみ栽培されている「本島姜(ペンタオジャン)」を使っています。優しい辛み、かつ絶妙な食感の生姜に育てるためには、細く長く育てなければなりません。だから生姜が上に伸びると、周囲に土をかける作業を3度行います。また、原料生姜を食塩に漬けて加工前に脱塩すれば保存コストは安く済みます。しかし、若干風味が落ちてしまうんです。

そこで弊社は冷蔵コンテナで生姜を輸送し、一貫して冷蔵管理しています。『新生姜』を開発した亡き父は「利は元にあり」と言っていました。元がよくないものはいくら化粧しても知れたものだ、といった意味です。

父と子

経営者の息子というと、うらやましがられることもありますが、私を含め、知人の経営者もみんな苦労していますよ。経営環境は大きく変化しています。例えば、漬物の市場は'00年前後に5500億円まで伸びましたが、これをピークに現在はそこから4割減。

父は「魚がいないところに釣り糸を垂れても商売にならない」が口癖でしたが、漬物の市場が小さくなっていく現実を目の当たりにしても、過去の成功体験を捨て切れず、衝突が絶えませんでした。