TV界の特異点「タモリ」の謎
〜汗をかかず、欲も見せない。なぜ存在だけで万人を魅了できるのか?

「ヨルタモリ」終了も本人はちっとも残念じゃない!?(「ヨルタモリ」HPより)

40年変わらない、汗を感じさせない芸風

フジテレビ『ヨルタモリ』(日曜午後11時15分)が9月末で終わってしまう。残念だ。タモリ(70)のゆるいトークとコントが、ウィークデーを前にした少し憂鬱な夜に合っていたと思う。

半面、タモリ本人にとっては、ちっとも残念なことではない気がする。ほかにも番組は複数あるし、すでに古希。少しのんびりしたいと思っても不思議ではない。そもそも昔から欲の見えない人だから。

最近、元テレビマンで現在は大学教授をされている方から、「バラエティー番組は出演陣が汗をかくほど面白くなる」と教えられた。なるほど、『ザ! 鉄腕! DASH!!』(日本テレビ)も『世界の果てまでイッテQ!』(同)も出演陣は汗をかいているし、過去には『8時だョ!全員集合』(TBS)や『オレたちひょうきん族』(フジテレビ)も汗を感じさせた。

もちろん例外もある。その筆頭格が各番組におけるタモリだろう。

筆者が初めてタモリを見たのは『金曜10時!うわさのチャンネル!!』(日テレ、1973年~)。希代の作詞家である故・阿久悠さんが企画し、ショー番組の神様と呼ばれた故・井原高忠さんが総指揮した伝説のバラエティーだ。和田アキ子(65)やせんだみつお(68)、ザ・デストロイヤー(85)らがドタバタを繰り広げていた同番組に、タモリは途中から参加した。

番組の中でタモリは異彩を放っていた。浮いていたと言った方が正しいかもしれない。スラップスティック・コメディ調の番組で、周囲はスピード感のあるギャグを競っていたのに、タモリだけは淡々と4ヵ国語麻雀やイグアナのものまねを披露していた。和田がせんだらとバトルを繰り広げ、爆笑を誘っていたのとは違う、クスリとさせる笑いが起きた。

少なくともタモリの芸は汗を感じさせなかった。マイペースでもあった。

30歳を過ぎてからのデビュー時点で、汗を感じさせないタモリの芸風は固まっていた気がする。イグアナのものまねは体を張っていたが、動作がスローで汗をかくほどではない。そもそも爬虫類のものまねで汗を感じさせたら変だ。

「ゴルフ嫌い」を公言しながらゴルフを始めたのは私生活上の変化に過ぎず、芸風が変わったとまでは言えないだろう。