住民が戦闘機の臨時滑走路まで作っちゃう!?スイスの民間危機管理はここまでやっている
東京都も世界一安全・安心な都市を目指して

災害に備える「マニュアル本」の必要性

今日9月1日は「防災の日」である。災害はいつ発生するか分からない。それだけに日頃からの備えが必要である。

東日本大震災から4年半が経つ。研究者の予測によると、東京で、30年以内にマグニチュード7クラスの地震が起こる確率は70%という。

私は若い頃、スイスで勉強していたが、この国は、フランス、ドイツ、イタリアという強国に囲まれており、いかにして国家の安全と平和を守るかに腐心してきた。いずれの国とも同盟しない「永世中立国」としたのも、欧州の勢力均衡の中で生き残るための智恵である。そのスイスでは、さすがに危機管理体制が完備されている。 

たとえば、高速道路はなるべく直線にし、中央分離帯を着脱可能なものとする。それは、一朝有事のときに、滑走路として使うためである。実際に、住民が中央分離帯を取り外し、両側の車線をフルに使った臨時滑走路を作り、高速道路のトンネルの中にあるシェルターに格納されている戦闘機が飛び立つ訓練を行っている。

これに対して、日本の高速道路はなるべくカーブを多く作るようにしている。それは、居眠り防止という交通安全上の配慮からであるが、そこには安全保障や防災という危機管理的な発想は全く無い。東京でも、環七や環八といった広い幹線道路を滑走路として活用できないか検討してみたが、ヘリポートにすらならない。

また、スイスのパンは世界一まずいという。それは、とれたての小麦は備蓄に回し、備蓄していた古い小麦を使ってパンにするからだ。日本式に翻案すると、新米は備蓄して、古米を食べるといった感じであるが、有事用の備蓄をいかに重要視しているかということを如実に示すエピソードである。

スイスでは、そうした備蓄も含めて、戦争や災害に備えるためのマニュアルが、政府によって全世帯に配布されている。『民間防衛』という本である。これは邦訳も出ており、コンパクトながら、有事の際の行動規範から、日常生活での危険回避方法まで、具体的に細かく記されている。スイスの家庭では、たとえば電話機のそばなどに、常備薬のように置いてあって、いつでも活用できるようになっている。