防衛・安全保障
韓国と北朝鮮は一体何がしたかったのか?〜一触即発の軍事的緊張からすぐに収束
朝鮮半島が緊張と緩和を繰り返す理由
殴り合ったのに、握手で収める【PHOTO】gettyimages

一触即発状態だったのに…

この8月、一時的に南北朝鮮の軍事的緊張が急速に高まった。発端は、南北朝鮮が対立する軍事境界線を境界線とした非武装地帯において、地雷が爆発して韓国軍兵士が負傷したことにある。

ところが、わずか1ヵ月と経たないうちに、対立は収束した。一体、この「衝突」はなんだったのか。まずは、経緯を振り返ろう。

8月4日の朝、韓国側にある非武装地帯を哨戒していた韓国軍兵士2名が地雷に触雷し、脚を切断する重傷を負った。その付近で数日前に大雨が降ったとの情報があったため、当初は埋まっていた地雷が非武装地帯に流されてきたものとの推測もあった。

しかし、この事件を6日から7日にかけて現場調査した韓国の国防部合同調査団は、10日に「北朝鮮側が最近、非武装地帯に地雷を埋設したために起きたもの」と発表した。爆発物の残骸には腐食の跡がないために、最近埋設されたものと考えられたのだ。

同時に韓国側は、2004年の南北合意以来中止していた、南北軍事境界線付近での拡声器による宣伝放送を始めた。さらに11日、韓国大統領府の閔庚旭報道官は、北朝鮮に対して、謝罪して、責任者を処罰するように厳重に要求すると述べた。

一方の北朝鮮側は、14日に「地雷爆発事件は北朝鮮側とは無関係である」と発表、15日には北朝鮮の朝鮮人民軍前線司令部が拡声器による宣伝放送の中止を要求して、応じなければ、軍事行動を全面的に開始すると警告した。

緊張が高まる中、20日に韓国国防部は、北朝鮮側から砲弾が韓国側に打ち込まれ、それに対して数十発の対応射撃をしたことを発表した。北朝鮮では朝鮮労働党中央軍事委員会非常拡大会議が開催され、準戦時体制を布くことになり、南北朝鮮はお互いに前線の軍事力を強化した。

まさに一触即発の状態が続いたが、23日から板門店で南北高官会議が行われ、25日未明にはあっけなく合意がなされた。北朝鮮側は遺憾の意を表して準戦時体制を解除すると共に、韓国側は軍事境界線付近での拡声器による宣伝放送を止めることになった。南北高官会議の合意によって、南北朝鮮間の軍事的な緊張は少し収まったと言えよう。

軍事的緊張が高まったのに、すぐに合意して緊張が緩和されるとは、南北朝鮮は一体何をしたかったのかという疑問が生まれるだろう。