「で、キミの目標は?」 
将来に希望が持てない若者は「決意」で変わる

年間2000人のボランティアを動員するNPO
NPO法人iPledge代表の羽仁さん

NPO法人iPledge(アイプレッジ、東京・渋谷)代表の羽仁カンタさんは、大学生や20代の若手社会人向けにボランティア活動を通した人材教育を行う。同団体では、ボランティアスタッフに、目標を定めさせ、「どう生きたいのか」と問いかける。羽仁さんは、若者に「誇りを持ってほしい」と言う。若者に込める思いを聞いた。

羽仁カンタ(はに・かんた)
NPO法人iPledge・ごみゼロナビゲーション統括責任者。誰もが対等な、参加型市民社会の創造を目指して活動中。国際青年環境NGO「A SEED JAPAN」を1991年設立代表を務め2014年まで理事。全国の野外音楽フェスティバルでのごみを削減する「ごみゼロナビゲーション」活動を94年からスタート。フジロックフェスティバル、ap bank fes、アースディ東京、エコプロダクツなど年間30本のイベントに2000人のボランティアが参加している。

――羽仁さんは、1994年から「ごみゼロナビゲーション」(以下ごみゼロ)という環境対策活動を企画し、フジロックフェスティバルなどの野外イベントをクリーンにし続けてきました。この活動に参加するコアスタッフには、「目標を持て」と口酸っぱく伝えているそうですね。

羽仁:その人が今年一年どうしたいのか、目標を立てるように言っている。目標がない状態でずるずると過ごしてしまったら、活動がただの思い出づくりだけで終わってしまうからね。

だから、色々なところで、「で、キミの目標は?」と聞いているよ。全体会議でも、飲み会でも、誕生日パーティーでも、常に聞いているね。

「禁煙する」、「時間に遅れない」、「今日1日は怒らない」など、小さなことでも、決意をしてほしい。アイプレッジは、「世界は決意でできている」と掲げているが、自分で区切りをつけて意を決するわけで、決意ができれば、達成できないかもしれないけど、走りだすことができる。

ぼくは、人はどんなタイミングでも目標を立てるべきだと考えているよ。恋人がいる人は、今日一日を2人でどうやって幸せに過ごすのかいつも考えるべきだよ!なんて、たとえばの話だけどね(笑)。

自分で決意して、自分で目標を立てる。そして、自分の身の丈にあった目標をクリアしていくこと。これを繰り返して、自立心や自尊心を育てて、自分に誇りを持てるようになってほしいと思っているよ。

――こうしたやり取りをコアスタッフの若者たちはどんな風に感じているのでしょうか。

羽仁:去年、ごみゼロナビゲーションのボランティアにかかわった大学生には、その人が卒業するとき、「羽仁さんのことをすべて正しいとは思っていない。半分くらい」と言われたよ(笑)。確かに、ショックだったけど、そう言えるのは、その人が自立した現れだから、それで良いんだと思う。

ある調査(*1)では、3人に1人の若者が「将来に希望が持てない」という結果がでている。ぼくもごみゼロの活動を通して、毎年数千人の若者に会うが、自信を持てていない人は多いね。このことについて何と改善したいと日々思って、活動しているよ。

*1 平成26年6月に内閣府によって行われた「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」。日本、韓国、アメリカ、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン、計7ヵ国の13歳から29歳の若者を対象に行われた質問への回答をもとに、日本の若者の意識や特徴を分析したもの。
団体内で、それぞれの目標を話し合う

――1994年にごみゼロを始めていますが、そのときの主催団体は、A SEED JAPAN(アシードジャパン)でした。2014年からは、iPledge(アイプレッジ)を立ち上げ、アイプレッジの活動として、ごみゼロを行っています。どのような経緯で、主催団体が移ったのでしょうか。

羽仁:もともとごみゼロナビゲーションは、A SEED JAPAN(アシードジャパン)の取り組みの一つとして生まれた。アシードジャパンでは、環境に関心のある若者と国際会議や政府、国内外の企業に提言活動をしてきた。

提言活動も大事な活動だけど、それは少人数しかかかわれない。なぜなら、英語は必須で、勉強も必要だから。小難しいことが好きでないとできないもの。

ごみゼロの活動は、その提言活動とは異なり、多いときで年間2000人くらいの若者たちが、参加する。94年は年に1回だったが、98年には年に3回、2005年には年に10回行い、若者と接している時間が年を追うごとに多くなっていった。

若者たちと一緒にいて、彼らにとっての大事な時間は何かと考えるようになった。当然、環境問題は人類が生きていくために、重要な問題。でも、それ以前に若者たちが自分に自信を持つことや可能性を信じることが大事ではないかと気付いたんだ。

自分に自信を持てない若者たちが、未来の自分、なりたい自分になっていくために、必要な試練やチャレンジを通して成長していくことや、さまざまな価値観と情熱を持った仲間と出会う場を提供していくことが必要だ! と思い2014年にアイプレッジを立ち上げた。