世界20都市で見た! 「ソーシャルメディア」がもたらした“社会のつながり”の変化

ソーシャルメディアで世界はどう変わったか?

この連載が始まった2011年は、日本でソーシャルメディアとスマートフォンが急速に普及した“ソーシャルメディア元年”。いつでもどこでもインターネットに接続できるスマートフォンと、個人・企業・政府・研究機関など、様々な主体が、グローバル規模でフラットかつ緩やかにつながるソーシャルメディアによって、より多様な情報が、リアルタイムに近い状態で、無数に流通するようになりました。また、時空を超え、オンラインで人と人がつながり、コミュニティを形成しやすい環境が整ったのも、この時期と重なります。

これによって、メディアと読者の関係も変化してきました。読者は、メディアから発信される情報の“消費者”にとどまらず、メディアが形成するコミュニティの一員となってきたのです。

英紙ガーディアンの「Guardian Witness」や米ニュース専門チャンネルCNNの「iReport」のように、大手メディアでは、読者参加型の取り組みが広がる一方、住民自身が地元の情報を集め、発信する、草の根のローカルジャーナリズムが、地域メディアの一翼を担いつつあります。また、一般読者からの資金を元手に、蘭オンラインメディア「De Correspondent」などの新しいメディアが、次々と生まれてきました。

地球温暖化や気候変動、エネルギー問題、貧困、経済格差、食料危機など、グローバル規模で取り組むべき社会的課題が広く共有され、より多くの人々が、これらの課題に関心を持つようになってきたのも、ソーシャルメディアによるところが少なくないでしょう。

また、グローバルな視野からこのような課題を知ることによって、それぞれが日常生活をおくる“地元”を改めて見直し、「自分たちのまちをよりよくしよう」というローカルなアクションが、世界各地で見られるようになってきました。

たとえば、東西ドイツ統一直後の混乱期を経て、音楽やアートの発信地として蘇り、今日では、起業家やスタートアップ企業が集まる“欧州のシリコンバレー”としても知られる独ベルリン。地元に深く根付くDIYカルチャーをものづくりやニッチメディアの創出に活かす米ポートランド2012年夏季オリンピックを機に、サステナビリティを考慮した新しい居住コミュニティをつくった英ロンドン。重工業の街から“知とカルチャー”の街へと変貌を遂げつつあるスウェーデン南部のマルメ。いずれも、その地の伝統や風土、歴史を活かしながら、時代とともに柔軟に変化し、独自の輝きを放っています。

ソーシャルメディアの仕組みをベースとした様々なオンラインプラットフォームが、グローバル規模のつながりのみならず、ローカルなコミュニケーションインフラとしての機能を担いはじめているのも、近年、顕著な変化のひとつです。ローカル版ソーシャルメディア「Nextdoor」や地元の農家と消費者をオンラインでつなぐ「La Ruche Qui Dit Oui!」、住民の政治参加を促す「Civinomics」などが、その例としてあげられます。