アマゾンの容赦なき労働哲学「壁を登れ!さもなくば去れ!」〜大の大人がみんなデスクで泣く
The New York Timesより

知られざるアマゾンの内幕

〔PHOTO〕gettyimages

(文/ジョディ・カンター&デービッド・ストリートフェルド)

壁にぶつかったら、壁を登れ!

月曜の朝は、アマゾンの新入社員達を一列に並ばせて、その独特な仕事のやり方をオリエンテーションする日だ。

ある従業員は当時を振り返り、前職で身に付けた「悪い習慣」は忘れるように言われたと話す。別の従業員は、容赦のないペースゆえに「壁にぶつかった」場合は、「壁を登る」のが唯一の解決策だと言われた、と教えてくれた。

できる限り優秀な「アマゾニアン」になるには、同社のリーダーシップ原則に従って行動しなければならない。その原則とは、ラミネート加工のカードに刻まれた14のルールだ。数日後にそのルールについてのテストを受け、全問正解だった従業員には「I'm Peculiar(私は特別)」というバーチャルの賞を与えられる。これはアマゾン内で、職場の習慣を覆すものとして誇りをもって口にされる言葉だ。

アマゾンでは会議で互いのアイデアを酷評したり、長時間かつ深夜まで働くことが奨励される(深夜過ぎにeメールが送られてきた直後に、なぜ返信がないのかというメッセージが届く)。さらに、会社が「理不尽なほど高い」と豪語する基準を維持することを期待される。

内線番号表には、互いの上司宛に内密にフィードバックを送る方法が記されている。これは他人への妨害工作にかなり使われている、と社員たちは言う。(このツールでは、次のようなテキストがサンプルとして挙げられている。「私は、彼の融通の利かなさと、些細な仕事について公然と文句を言うことが気になりました」。)

月曜日に列に加わった新入社員の多くは、数年後にはいないかもしれない。勝者は2億5千万人の顧客に向けたイノベーションを考え出し、高騰する株でちょっとした財産を得る。敗者は去るか、または、年1度の淘汰、つまり「意図的なダーウィニズム」で解雇される、と元人事部長は言う。

ガンや流産、そのほか、個人的危機に遭った従業員の中には、回復の時間を与えられず、不公平な評価を受けたり、じわじわと追い出されたしたという人もいた。

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