第10回ゲスト:渡辺新さん (後編)
「親子二代はもちろん、なかには三代にわたるお付き合いのお客さまもいらっしゃいます」

〔写真〕峯竜也 〔構成〕小野塚久男 〔撮影協力〕Ne Plus Ultra 銀座店

【前編】はこちらをご覧ください。

銀座で「爆買い」に遭遇。紳士の館は大丈夫か?

島地 リーマンショック、東日本大震災という大きな出来事があり、銀座も人足が遠のいたとも聞きましたが、今はどうでしょうか?

渡辺 世の中の景気よりも、銀座はそこで働く人の「気」に左右されると思います。例えば日本橋は、長い歴史を持つ老舗を中心に街が出来上がっていますが、銀座は違う。守りに入ると街全体の活気が失われ、何か新しいことにチャレンジしているときは、活気にあふれて人通りも増えます。外国人観光客が増え、東京オリンピックの開催も決まった今は過渡期かもしれません。

日野 外国人観光客といえば、銀座を歩いていても中国語があちこちで飛び交うようになっていますね。団体で行動しているから、意味もなく圧倒されます。

島地 わたしが行くような店には関係ないのかと思っていたら、あの「爆買い」というのはすごいですね。菊水(喫煙具専門店)でパイプを見ていたら、数人の中国人が入ってきて、ケースを指さし、「ここからここまで全部」というんです。久しぶりに目が点という言葉の意味を実感しました。

渡辺 大通りに面している店では、それをあてにしているところも多いでしようね。

島地 パイプ一本にもいろんな背景があるわけですよ。こっちはそれを店員と話しながら選ぶのを楽しんでいるのに、いきなり全部持っていかれたらどうにもなりません。壹番館でもそういうことはありますか?

渡辺 紹介でいらっしゃる方は何名かいますが、一見さんはまだいません。

島地 お金はたくさん使えても、スーツを仕立てる贅沢さを知るまでは消費者として成熟していないのでしょう。でも彼らのお蔭で銀座自体が潤っている部分もありますよね。

渡辺 もちろんかなりの影響があると思いますが、軸足をそこに移すのは危ういと思います。中国の経済が悪くなったら共倒れですから。あくまでも、ご贔屓にしてくださるお客様との継続的なお付き合いを大切にしないといけません。