絵本、童話、児童文学の作家が、本に込めた思いから創作秘話まで語りつくしました!
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「あらかじめは、なし」

文/角野栄子(童話作家)

深く考えないで走り出す

国際児童図書評議会、略称、IBBYは、子どもと子どもの本に関わるすべてのひとをつなぐ世界的ネットワークで、現在本部はスイスのバーゼルにある。その日本支部であるJBBYは、昨年設立40周年をむかえた。

「記念事業として、連続鼎談をやってみませんか」という話が来た。鼎談? それまでに何回かは経験があった。壇上におひな様みたいに三人並んで、いろいろ気遣って遠慮がちに話をする。そして、話し足りないような、聞き足りないような、気分で終わる。そんなことが多かった。

「4回連続で、自由にやってみませんか」事務局の言葉だった。「人選もお任せします」というのだ。「自由」「お任せ」という言葉は魅力的だった。会って話を聞きたい人はいっぱいいる。4回では足りないぐらい。

私には、興味が湧くと深く考えないで走り出してしまう癖がある。今回もそうだった。あらかじめ計画することが苦手なのだ。あらかじめ調べたり、勉強したりすると、時間も手間もかかる。そのわりに固くつまらないものになりがちだ。そうだ、今回は「あらかじめは、なし」にしようと思った。それで失敗したら……? と考えることも「なし」。いつもそうやって、失敗ばかりしているのだけれど。

そして、高楼方子(たかどのほうこ)さん、富安陽子さん、荒井良二さん、金原瑞人(みずひと)さん、ひこ・田中さん、令丈ヒロ子さん、あべ弘士さん、穂村弘さんの8名にお願いした。