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急増中! 妻に先立たれて「家計崩壊」
〜年金は半分に! でも、出て行くカネはむしろ増える

〔PHOTO〕gettyimages

巷では「夫が逝くと妻は元気になるが、妻を亡くした夫は早く逝く」とも言う。うるさい、小憎らしいと思いながらも、長年ともに生きてきた妻。夫にとって、その死は驚くほど致命的なものになる。

妻の後を追った演出家

「まさか、アイツが先に逝っちまうとは、思わなかったですよ。私は酒もタバコもやめられない口だけど、女房は一切、やらなかったしね……。

妻なんてのは空気みたいなもんだと言いますね。しかし、空気が突然なくなったと思ってごらんなさい。そりゃ、大変なことですよ」

東京・板橋区在住の高木信一さん(73歳・仮名)は、こう言って、一昨年に亡くなった妻の位牌を見やった。

長年連れ添った夫婦と言えど、寿命は人それぞれ。妻の生前は「口うるさいやつ」、「もう飽きた」などと言っていた夫でも、いざ妻を喪ってみると、ショックは大きいものだ。

その衝撃の深刻さを物語る事件が、7月29日に起きている。同日午前3時、ミュージカルなどの舞台演出や台本の翻訳で高い評価を受けていた、演出家の吉川徹氏(54歳)が自宅で首を吊って亡くなったのだ。

この日は、吉川氏の54回目の誕生日。そして午前3時は、今年1月3日に心不全のため急逝した、妻はるみさんの亡くなった時刻だった。

吉川氏が手掛けた舞台で、スタッフをまとめる舞台監督を務めた男性は、こう明かす。

「舞台の演出家には、気性が激しく、スタッフや出演者に怒鳴り散らすような人も多いのですが、吉川さんはとても物静かでした。ミュージカルの楽曲の歌詞を翻訳するときなどは、曲にぴったりの日本語を見つける。内向的で文学肌の人でした。

奥さんもとても控えめな人で、劇場に来ることがあっても、あまり目立たない印象でしたね。吉川さんより10歳くらい年下だったと思います」

芸能界では、仕事もプライベートも区別せず、家族ぐるみの付き合いをするような役者、スタッフも多い。だが、吉川氏は一線を引き、プライベートの話を避けるタイプだったという。

「お子さんもいなかったと思います。プライベートは奥さんと二人きりの時間が多かったでしょうね。1月に突然、奥さんが亡くなった後は、1ヵ月ほど仕事を休んでいました。復帰後、私が『ご愁傷様でした』と挨拶をしたら、『いやいや……』と苦笑いしただけで、自分は大丈夫だと見せようとしていたようでした。