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今すぐ「首」を揉むのをやめなさい!
〜その「ひと揉み」が実は万病のもと

認知症・脳梗塞・うつ病・クモ膜下出血……
週刊現代 プロフィール

そうして強く揉み続けると、こりが増幅して、副交感神経の働きが阻害され、交感神経とのバランスが崩れてしまう。交感神経が過剰に優位になると、急に脈が早くなり、血圧が上昇したり、胃腸の働きが抑制され食欲がなくなったりと、様々な体調不良につながるのです」

こうした不調の症状は、発汗の異常、血圧の不安定、全身の異様な疲労感など、松井医師が確認しているだけで、実に30種類にも及ぶという。

「むやみに力を入れて首を揉んでしまうと、全身に影響を及ぼし、さらにつらい症状を招いてしまうことになります。

体のあちこちに原因不明の不調があったら、まず首を疑ってください。そして、首を揉んでいた人は今すぐ揉むのをやめてください」(松井医師)

揉むと血管が詰まる

首を揉むことの弊害を指摘しているのは、松井医師だけではない。国際医療福祉大学熱海病院の神経内科医、永山正雄副院長によれば、血管と血流の観点からも、首を揉むことにはリスクがあるのだという。

「首を強く揉むことによって、頸動脈などの血管にこびりついているプラーク(血管のカス)や血栓が剥がれ落ち、血管が詰まって脳梗塞になる恐れがあります。プラークは年齢が高くなるに連れて生じやすいので、高齢者ほど危険です。

最悪の場合、首への負荷によって血管の外壁に亀裂が入り、そこの部分に瘤が出来てしまい、クモ膜下出血につながる恐れもあるのです」

小田原市で鍼灸院を開業し、日本で唯一、首と頸椎に特化した本格的な鍼灸施術を行っている劉莉亜院長は、首の不調によって認知症が進行する可能性もあり得る、と指摘する。

「年を取ると、筋肉やじん帯が老化し、頸椎間の関節を固定する力が落ち、頭を上げ下げするときに首が揺れたり、ずれたりしてしまうケースが多いのです。

この際に生じる歪みが原因で、頸椎のそばを通っている動脈が圧迫され、脳に十分な血が行き渡らなくなり、脳への血液と酸素の供給が減少する。すると、脳細胞の代謝機能が落ち、結果として認知症が進行するという研究があります。首の後ろを揉むのも動脈を圧迫することと同じですから、その進行を早めかねません」

「ゆるめ」て「鍛える」

また、首を過度に揉むことで、うつ病を発症する可能性も高まるという。

松井医師が解説する。

「首のこりが原因で起こる30種類の不調は、同時多発的に起きるので、悪化すると非常に苦しい思いをします。めまいなら耳鼻科、胃腸不全なら消化器科など、それぞれの症状が出る部位の病院に行っても正しい手立てが打てないまま悪化し、あまりの心身の不調に自律神経性のうつ病に陥るケースも多くあります」

こりをほぐそうと思って首を揉むことが、皮肉にもますます体調を悪化させ、脳梗塞やクモ膜下出血、さらに認知症や自律神経性のうつ病にまでつながる可能性があるというのだから、これほど恐ろしいことはない。

では、「揉まずに」こりをほぐし、首の健康を取り戻すには、一体どうしたらよいのだろうか。