週刊現代
政府がどんな策を弄しても、辺野古に基地は造れない〜その簡単な理由
弾圧は抵抗を呼び、抵抗は友を呼ぶ

辺野古・主義(イズム)を超える海

アジサシ〔PHOTO〕gettyimages

政府と県民がぶつか合う現場の海へ

アジサシという鳥をご存じだろうか。白いユリカモメを小さく、鋭くした体形で、空から急降下して海中の小魚を捕る。

その手並みの鮮やかさ。海面から空に戻るアジサシの嘴(くちばし)に咥えた小魚の鱗が輝いている。

「オスは、ああやって捕った魚をメスにプレゼントするんですよ」と、船長のアシスタントを務める女性が説明してくれる。

アジサシは渡り鳥だ。冬はオーストラリアで過ごし、夏場になると沖縄にやってきて無人島などで卵を産み、子育てする。

でも、真夏の沖縄はひどく暑い。せっかく産んでもゆで卵になるんじゃない? 同船した琉球新報の若い記者は以前、小学生にそう聞かれ「親が海水を運んできて卵を冷やすから大丈夫なんだよ」と答えたのだと言う。

申し遅れたが、私は沖縄県名護市の大浦湾の沖合に来ている。米海兵隊の新基地建設をめぐって、政府と県民が真っ向からぶつかり合う現場である。

正気の沙汰ではない

私たちが乗っているのは全長7mの白い小型クルーザー。埋め立て阻止のため昨年秋、沖縄のキリスト者らが寄付を募って購入した抗議船『不屈』である。

船名は、反基地闘争の指導者だった瀬長(せなが)亀次郎('01年没・元共産党副委員長)が愛した言葉に由来する。文字も瀬長自身の墨書を再現したものだ。

「キリスト教徒が共産党幹部の言葉を掲げるなんて沖縄らしいでしょ。まさに『イデオロギーよりアイデンティティ』(翁長雄志知事の言葉)なんですよ」

と、沖縄在住10年目のノンフィクション作家・渡瀬夏彦さん(56歳)が言って笑う。