このままでは中国の二の舞……
新国立競技場の新たな問題
「五輪後のビジョン」がない!

建設中の新国立競技場。負の遺産となる匂いがプンプン漂う【PHOTO】gettyimages

オリンピック後に何を残すのか

安倍内閣の支持率低下が続いています。安保法制やこれを巡る政府関係者の発言などが主要因であることは間違いありませんが、それ以外にも、プラス材料はあまり見当たりません。

安保法制に次いで、大きな政治的論点となっているのが、「新国立競技場」問題です。建設費が当初は1300億円程度だったはずが、その後2520億円(6月末文科省発表)にまで膨れ上がり、7月17日に安倍首相が計画白紙撤回を表明しました。

当初は、安保法制に対する批判の高まりをかわし、支持回復を狙ったのでは……といった憶測もありました。しかし、実際上、そうした効果があがっているとは思われません。野党からの追及・批判はむしろ高まっているようです。

8月7日の衆議院予算委員会、10日の参議院予算委員会などでも、この問題がとりあげられました。野党からは、建設費の試算や計画が迷走した経過などの追及がなされ、下村文科大臣の責任を問う声もあがりました。

また、競技場そのものの計画は見直しとなった中、一連の問題の責任者である日本スポーツ振興センター(JSC)が競技場そばの新築ビルに移転する計画は継続されているなど、いかにも国民感情を逆なでする問題も明らかにされました。

言うまでもなく、このような政府の監視と責任追及は、国会の大きな役割です。これ以上コストと時間が無駄にされることのないよう、徹底したチェックがなされる必要があります。ただ、それだけで終わってしまうのでは、せっかくこの問題を国会で議論するのに、ちょっと視野が狭すぎるように思われます。

この機会にしっかりと議論すべきは、オリンピック・パラリンピック後の社会に何を遺すのか、ということでしょう。遺すべきものは、競技場だけではありません。1964年の東京オリンピックは、東海道新幹線や首都高速道路など、その後の経済成長を支える大きな遺産をのこしました。もちろん、オリンピックがなくても、新幹線も高速道路もいずれできたでしょうが、オリンピックの「締切効果」が、日本の成長を加速したのです。

2020年の東京オリンピックは、その先の日本に(あるいは更に世界に)何を遺すのでしょうか。そして、そのためにどれだけのコストをかけ、どれだけのリターンが期待できるのでしょうか。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら