選挙
安倍政権の「裏番長」がついに動いた!
野田聖子の総裁選出馬を阻んだ二階俊博総務会長の「血判状」

【PHOTO】gettyimages

 32名の毛筆署名

やはりと言うべきか、さすがと言うべきか、自民党の二階俊博総務会長が先手を打ってきた――。

8月10日のことである。その前日から埼玉県・秩父市で二階派(志帥会)の研修会が開催されていたのだが、この場で、9月下旬に予定される自民党総裁選に向けての同派の対応は二階会長に一任された。

そしてその日の午後、河村建夫会長代理(元官房長官)は院内で安倍晋三首相(総裁)に会い、総裁選で安倍首相の3選を支持する「推薦状」を手渡したのだ。

「推薦状」には、二階派に所属する衆参院議員34人のうち、二階氏と伊吹文明前衆院議長を除く32人の毛筆署名があった。巻紙に署名というと、何やら血判状を思い起すほど時代がかった印象があるが、派閥の名称からして当然の所作だったのだろう。

それはともかく、二階派の「安倍支持」表明が党内にもたらしたインパクトは強烈なものだった。それに先立つ7月26~27日、安倍首相の出身派閥で党内最大の細田派(清和会・95人)は長野県軽沢町で研修会を開いた。当然、安倍首相支持を決めている。と同時に、細田博之会長(幹事長代行)は、総裁選後に行われる内閣改造・党役員人事を念頭に、総裁派閥に見合った人事をして欲しいと語り、首相の人事方針に注文をつけた。

肝心なのは、二階派の「安倍支持」がどのような意味を持つのかである。総裁選出馬に秘めた意欲をもつとされる野田聖子前総務会長の前に大きく立ちはだかる障害となったのだ。改めて指摘するまでもなく、総裁選出馬には20人の推薦が必要である。

一貫して野田氏に出馬を促してきた古賀誠元幹事長は今なお岸田派(宏池会・45人)名誉会長だが、非議員である。衆参院議員の中で半ば公然と野田氏擁立に動いているのは、浜田靖一元防衛相(現衆院安保法制特別委員長)と小此木八郎国対委員長代理の2人である。両氏は共に無派閥であり、野田氏もまた無派閥である。

名簿上、安倍首相、高村正彦副総裁、谷垣禎一幹事長、二階総務会長、甘利明経済財政・経済再生相、菅義偉官房長官、塩崎恭久厚生労働相、高市早苗総務相ら政府・自民党の要職にある者は「無派閥」とされるが、実質的には出身派閥扱いである。

それでだけではない。石破茂地方創生相も無派閥にされているが、鴨下一郎元環境相、小池百合子元防衛相らと共に石破グループ(さわらび会・約30人)を形成している。谷垣幹事長もまた実際には谷垣グループ(有隣会・約16人)を率いており、そこには中谷元・防衛相、遠藤利明五輪相、川崎二郎元厚生労働相らが名を連ねている。

つまり、純粋な無派閥議員というのは、その殆どが当選回数3回以下の若手であり、当選4~6回の中堅議員などは何らかの「色」が付いていると見られているのだ。であれば、野田女史が期待をかける若手の衆参院議員は、安倍政権(総裁)下での2012年12月衆院選・14年12月衆院選、13年7月参院選で当選した「安倍チルドレン」が過半であって、「野田支持(擁立)」に回るとは思えない。

そこで野田氏が支援(推薦)を密かに期待していたのは、政治的立ち位置が比較的リベラルな岸田派や二階派に属する人たちであった。が、二階派の「安倍支持」表明で見果てぬ夢となった。岸田派には「ハト派」「親中派」「護憲派」が多く、党内では長くにわたってリベラル系集団と見られてきた。

ところが、領袖の岸田文雄外相が安倍外交を担う中心閣僚であり、10月初旬に行われる内閣改造で続投が確実視されている。同派閥からも推薦人が期待できないとなれば、いよいよもって野田氏の総裁選出馬は難しくなる。

二階氏は野田氏の安倍首相への挑戦の芽を事前に摘んだのである。同氏には“前科”がある。第1次安倍内閣下の2007年7月参院選で自民党が民主党に敗れたとき、閣内では当時の麻生太郎外相、そして党執行部では二階国対委員長が真っ先に安倍首相は引責辞任する必要がないと言明したのだ。安倍首相はこうしたことを絶対に忘れない。今後、二階氏の存在感はますます大きなものになるだろう。


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