新白河原人23 丸太小屋をつくる15
〜屋根掛け

【特別公開】守村大『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

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丸太小屋をつくる15 屋根掛け

棟上げを無事完了した私の丸太小屋が、棟木を天に捧げ上げ、凛と、堂々と立っている。しかしながら屋根が掛けられていなければ、その威容も役立たずの虚栄に過ぎぬ。雨雪を凌ぐ屋根を冠してこそ、威厳も存在価値そのものも初めて成立する。

屋根構造を簡略に説明する。骨組みの天頂にある“棟(むね)”から下部の“軒(のき)”まで垂木(たるき)という支持材を数十本肋骨のように掛け渡し、その上に板材を張り巡らせ屋根の形を拵える。

さらに、防水シートを張り、瓦やトタン等の屋根材を葺き詰めて完成となる。屋根葺きは、屋根材を一枚一枚たんねんに張っていく根気のいる仕事だ。私の丸太小屋にはホームセンターで買ったアスファルトシングルというゴム状のシートを使用する。

さて、ヨメの登場。「山林を開拓、開墾して住むぞ」と世間知らずの世迷い言を吐き、前のめりに突っ込む阿呆な私にのこのことついてきた、やはり、阿呆なおなごといっていい。丸太組みには力不足なので観察に徹してもらったが、屋根葺きは戦力として期待する。

彼女の任務は、屋根材の一枚一枚に黒いメタメタの接着剤を塗り、屋根の斜面に取りついた私に手渡す役目。40kgそこそこの短躯を励まし、けなげに頑張っている。それにしても、せわしない、やかましい。ひーん、黒いのが手についたーっ、げっ、服にも。重いーっ。野郎なら20枚は持てそうな屋根材を2、3枚持って音を上げている。

よちよちと足場を歩き、不注意で足場パイプにしこたま頭をぶつけ、しゃがみこんでシクシク泣いているのを見てしまった。プライド高く、弱みを見せまいと、軒下に隠れて頭を抱えて身をよじっている。わあ、痛そう。ヘナチョコな私が目を覆う程に、ふにゃふにゃに虚弱である。

はたしてこのおなご、この先、山で暮らせるのであろうか。憂える。とはいうものの、ヨメのやかましくもめざましい活躍に助けられ、屋根葺きはめでたく完了したのでございます。

完成間近。

(つづく)

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守村 大(もりむら・しん)
1958年生まれの漫画家。モーニング(講談社)にて連載された『万歳ハイウェイ』『あいしてる』『考える犬』など、代表作多数。現在東北新幹線・新白河駅から車で10分の里山で開墾生活をしながら、モーニングにて『新白河原人』の漫画版『ウーパ』を連載中。

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