新白河原人20 丸太小屋をつくる12
〜開口部開放

【特別公開】守村大『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

←「まえがき」から読まれる方はこちら

丸太小屋をつくる12 開口部開放
 

8段。壁高が2mを超えた。

一般的に丸太壁を組み上げる作業は3人程で行う。1人がクレーン等の操作、2人が丸太材の両端に付き、揺れる丸太を制御して定位置に降ろす、それが理想。

私の場合、さびしい物言いになるが、終始ひとりぼっちの作業。壁が低いうちはさほど困難でもないが、壁高が上がると丸太の動揺も危険を増し、はなはだ難儀になる。なんとか制御すべく、猿回しのように丸太の端にロープを結び右手に持ち、左手でユンボのアーム操作をして積み降ろすという、煩雑で曲芸じみた作業を行った。

あと80cm程積む予定だが、この2m超えは格段であるぞ。出入り口や窓の高さに達したということで、感慨もひとしおじゃ。

9段目は画期的な丸太材になる。外国言葉で“ヘッダーログ”ていう出入り口や窓の上部にあたる丸太材で、開口部を四角く刻んで積み上げる。うひひ。私はこの時を心待ちにしていたのだ。来たね、とうとうここまで。

さて、ここで開口部を切り降ろす。これまで四面を堅く閉ざし結界を結び、外界を限っていた壁を開放する。

まずは出入り口、大胆な観音開きの戸口を考えているので大きな開口になる。いくぜ。

8段を一気に切る破壊にも似た行為には鼻息も荒くなる。覚悟つか、決意も要する。ためらいを振り切り、切りましたあっ。おびただしい鋸屑を撒き散らし両端を断ち切ると、切り落とされた8段分の丸太がゴロンゴロンとなだれ落ちていく。

壁は開かれた、ポッカリと。キモチイイ。別段、密室だったわけでもないのだが、外界の空気が流れ込んできて混じり合ったような文字通りの解放感が、私の気持ちともども現場に溢れた。

引き続き、各面の窓、明かり取りの小窓の開口部を切り落としてやると、牢獄のように硬直していた四面の壁は、いきなり晴れがましい、ほがらかな、人の住まいの様相を見せてくれる。慶事であるぞ。乾杯。

次へ→

『新白河原人』連載一覧はこちら→

守村 大(もりむら・しん)
1958年生まれの漫画家。モーニング(講談社)にて連載された『万歳ハイウェイ』『あいしてる』『考える犬』など、代表作多数。現在東北新幹線・新白河駅から車で10分の里山で開墾生活をしながら、モーニングにて『新白河原人』の漫画版『ウーパ』を連載中。

守村大・著
『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

講談社 定価:1,500円(税別)

福島県の山中で自給自足を目指す漫画家のイラスト&エッセイ!
冷暖房費・0円。年間食費・約20万円。東京ドーム1個分の雑木林を切り拓き自給自足を目指して暮らす漫画家のスローでもロハスでもない奮闘雑記

 => Amazonはこちら
 => 楽天ブックスはこちら