新白河原人19 丸太小屋をつくる11
〜一心不乱

【特別公開】守村大『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

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丸太小屋をつくる11 一心不乱
 

自分の可能性を強引に信じ、はんちくな知識と技能を頼りに、おぼつかなく着手した丸太小屋づくり。ほんの数段組んだだけで醍醐味にハマり、夢中。不安など霧消。

何もかも破格で過激におもしろい。人力ではビクともしない数百キロの丸太を重機で扱う作業も、チェーンソーでの豪快かつ繊細な工作も、着々と組み上がる丸太壁も、なんてキモチイイのだろう。

わはは。5段目完了。なんていうか、この仕事の醸すたくましさが、自分が強靭に生きているような幸福な錯覚をもたらす。ひ弱な自分に動物的活力を与えてくれて、日々元気になる。

倦むことなく夢中で作業していると、一日など他愛もなく暮れてしまう。ちえっ、もお夕方か、と作業の終わりを惜しんでいる。6段目完了。翌日が待ち遠しくてたまらん。完全に丸太組みに取り憑かれてしまっている。

朝日が昇るのを待つのももどかしくフトンから這い出し、薄暗い中で準備して、チェーンソーを抱き陽光を待つ。ニワトリよりも早起きじゃ。林内に日が射すと同時にけたたましくチェーンソーの排気音を響かせて作業開始。近所迷惑など無い。隣家まで数百m。

7段目突入。壁の高さは160cmに達したぞ。ああ、どうしよう、楽しすぎる。愉悦に極まり、惑乱し、おおげさにも生きていることに感謝の念さえ湧いてくる。少しばっか、ぶっとんでしまっている。一心不乱。浅ましい程に、貪るように丸太に取り付いている。こうなると半狂乱と言っていい。少しくアブナイ人。

机の上で妄想をいじくり、四半世紀に亘り漫画屋として、紙とペンで口を糊してきた男の、もしかして初めての実業ではあるまいか。

何の稼ぎにもならぬのだが、やたらと気持ちのよいものに満たされている。むふふ。自分の成した仕事に自分で感極まり、ぷるぷると震えている。阿呆ではあるまいか、心配。まあ、これも自給自足かもしれぬ。8段目完了。すげえ。

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守村 大(もりむら・しん)
1958年生まれの漫画家。モーニング(講談社)にて連載された『万歳ハイウェイ』『あいしてる』『考える犬』など、代表作多数。現在東北新幹線・新白河駅から車で10分の里山で開墾生活をしながら、モーニングにて『新白河原人』の漫画版『ウーパ』を連載中。

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講談社 定価:1,500円(税別)

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