新白河原人18 丸太小屋をつくる10
〜2段目以降

【特別公開】守村大『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

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丸太小屋をつくる10 2段目以降
 

2段目に取りかかる前に、小屋の戸口の位置を決めて荒取りしておく。図面のない行き当たりばったりの施行が、行き先を決めないツーリングみたいで楽しい。

1段目は半割り丸太と3/4丸太を、平面の土台の上に組んだ。2段目以降は丸太の上に丸太を積み上げるので、下の丸太のカタチをそっくり上の丸太に写し取り、加工してやる作業が求められる。

さて、1段目の上に2段目の丸太を置いた。下の丸太との間には、丸太半分程の隙間がある。この隙間を落とし込み、寸分の隙間もなく上下密着させて積み重ねたい。

スクライブは落とし込みの幅が大きい程に、よれて不正確になってしまうので、2回の作業に分けて行う。まず1回目は荒取りして半分程落とす。約70mm残すのが理想。

さあ、2回目のスクライブが本番、勝負のスクライブ。この仕事の出来が壁組みの精度を決めると言っていい。事は単純、下の丸太をぐるりとスクライバーでなぞるだけ。けれども厄介なほどの長い緊張を強いられる。ひたむきが求められる。隙間風ひゅうひゅうの小屋はやだもんね。

ああ、中腰の持続が腰にキタ。おのれ、腕に蚊がとまってまんまと血を吸ってやがる。うわ、目にゴミが。しかめっ面で涙ぐみ、蚊に献血し、執念を燃やして作業完了。ひっくり返して確認すると、ビミョーな線で下の丸太のカタチが写し取れている。

チェーンソーで下の丸太のカタチに、上の丸太を抉ってやる。馴れてくると、かなりの精度の加工ができ、これで精緻な彫像を刻む猛者もいる。胆大心小、度胸と細心がチェーンソーワークの要じゃよ。

ああ、ドキドキする。私は良い仕事ができているであろうか。ヨイショと上の丸太を転がすと、ガポポン。くっはーっ、カッコイイ。正真正銘、無骨な丸太同士が何のはったりもなく組み上がっている。やることやって、なるようになっているだけだが、魔法のようだ。感激。満足。雀躍。むはは。お祝いに4段の壁組みを肴にビールを飲む。

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守村 大(もりむら・しん)
1958年生まれの漫画家。モーニング(講談社)にて連載された『万歳ハイウェイ』『あいしてる』『考える犬』など、代表作多数。現在東北新幹線・新白河駅から車で10分の里山で開墾生活をしながら、モーニングにて『新白河原人』の漫画版『ウーパ』を連載中。

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講談社 定価:1,500円(税別)

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