新白河原人16 丸太小屋をつくる8
〜ノッチとスクライブ

【特別公開】守村大『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

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丸太小屋をつくる8 ノッチとスクライブ

丸太小屋は北欧フィンランドに端を発し、カナダ辺りで完成した様式であるらしい。そのつくり方を詳述するとなると、当然、専門の外国ことばが頻出してしまう。

「ノッチとスクライブ」てナニ? てことになる。それは、丸太小屋づくりの楽しさ、魅力、困難をも含めた核心であるぞよ、と断言する。壁組みに入ったとたん核心などというと、朝起きて「おはようございます」と言いながら晩飯を食うような、そんな唐突な感じが否めぬのであるが、それが丸太小屋づくりの妙でもある。つまり、これを習得してしまえば、あとは延々と楽しいばかりの積み重ねであって、好きなだけ、思うがままの壁組みが可能になってしまうのでございます、マジ。

“ノッチ”とは丸太に刻む凹型の切り込みのことをいう。いくつかの類型があるが、多用され、作業も簡易で見た目も美しく、しかも堅固な接合を約束してくれる“サドルノッチ”を紹介する。この、いいことづくめのサドルノッチは、下の丸太に“サドルスカーフ”という凸型の加工を施してやり、その形状を“スクライブ”して上の丸太に写し取り、チェーンソーでその形状のままにノッチを刻み、両者をガッチと組んだ丸太組みのことである。

スクライブつうのは、水準器の付いた巨大コンパス型の“スクライバー”と称する道具で、丸太をトレースする作業のことをいう。これが丸太壁の組み合わせの精度を決めることになるので、たいそう慎重で正確な仕事が求められる。緊張してぷるぷる震えると、スクライバーもぷるぷる震えてぷるぷる線になり、ぷるぷるの壁組みになる。

伝わったろうか、伝わってないと思う。伝わる訳がない。外国ことばは呪文にござる。追々、初出の外国ことばに魂と実質を盛り込み、言霊を共有し、丸太小屋づくりの妙なる趣を余すことなく伝えるぞと決心して、ぷるぷると武者震いの私。

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守村 大(もりむら・しん)
1958年生まれの漫画家。モーニング(講談社)にて連載された『万歳ハイウェイ』『あいしてる』『考える犬』など、代表作多数。現在東北新幹線・新白河駅から車で10分の里山で開墾生活をしながら、モーニングにて『新白河原人』の漫画版『ウーパ』を連載中。

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講談社 定価:1,500円(税別)

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