新白河原人14 丸太小屋をつくる6
〜丸太の半割り

【特別公開】守村大『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

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丸太小屋をつくる6 丸太の半割り

丸太小屋を建築基準法では、まんま“丸太組構造”とか“校倉構造”と規定している。“校倉”つと、東大寺の正倉院の宝倉が思い浮かぶ。そうか、あれも丸太小屋の部類であるのかと考えると、丸太小屋というビンボーくさい響きも、とたんに神々しさを帯びる。

この校倉という言辞が丸太小屋の構造を正確に言い尽くしている。つまり原理的に、四面の壁を丸太などの部材を横組みに交互に組み上げたものであるぞよ、と言っている。なあんだ、簡単、カンタン、チョロイもんだ。

丸太小屋の壁組みは、土台の上に半割りの丸太を設置することから始まる。チョロイなどと前述したばかりだが、いきなし、チェーンソーで丸太を縦に半分に切り割るという難業が目前に立ちはだかる。「丸太の半割り」だ。

私は今、脇を固めチェーンソーをシッカと構え、作業台の上に載せた丸太に立ち向かっている。アクセルを握り、木口から切り込んだ。チェーンソーの切り溝は7mmにもなる。その分の鋸屑を派手にまき散らしながら豪快に切り進む。ああ、なんかオレちょっと男っぽくね、などと、ペンと鉛筆ばっか握ってきた漫画屋は、いい気になって少しくトランス。

あらら、切り口があらぬ方向に走ってしもた。集中、集中、ほほう、こうして真摯に丸太に組み打つオレってカッコよくね、おろろ、また曲がった。事程左様にチョイ呆けて気を緩めると、あっという間に切り口は曲がる。ふんが。わっぷ。なんてこった、鋸屑がビシバシと散って、鼻の穴や口の中に入り込んできて、いまいましい。

マスクをすればよいのだけれども、するてえと、防塵メガネが曇っちまってイヤなんだ。おのれ、こんちくしょう。チェーンソーが切れなくなってきて、呪詛の言葉が口をつく。しまった、作業前にチェーンソーの刃を研いでおくのを忘れていた。ひどく作業効率が悪い。くわあっ、腕がパンパンになってきたあっ。頑張れオレーっ、ひでばでぶーっ。ああ、やかましい。

大騒ぎして作業を終えると、チェーンソーのハンドルとグリップに、両の掌がガジガジに張り付いていた。

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守村 大(もりむら・しん)
1958年生まれの漫画家。モーニング(講談社)にて連載された『万歳ハイウェイ』『あいしてる』『考える犬』など、代表作多数。現在東北新幹線・新白河駅から車で10分の里山で開墾生活をしながら、モーニングにて『新白河原人』の漫画版『ウーパ』を連載中。

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