ついに司法取引の導入を決定
「最強の捜査機関」地検特捜部は甦るのか

昨年、政治資金の問題が浮上した小渕優子氏。不起訴で終わったのは、政治家への「配慮」があったから?【PHOTO】gettyimages

政治家不起訴のウラ事情

「司法取引」や「可視化」を含む刑事司法改革関連法案が、8月7日、衆議院を通過。参議院での審議を経て、今国会で成立する見通しとなった。

法案成立で最大の関心事は、「寝たふりの地検特捜部は甦るのか」という点である。検察、警察といった捜査関係者も、それを報じるマスコミ社会部も、長く「政官財」の澱みや歪みに鋭く切り込み、不正を正すような事件に遭遇していない。

もちろん日本がそれだけクリーンになったわけではなく、2010年に発覚した証拠改ざんの大阪地検事件以降、重要犯罪に挑む地検特捜部が「特捜改革」の名のもとに、自粛期間に入ったからだ。

改革の指揮を取っている大野恒太郎検事総長は、東大法学部卒、ハーバードロースクールLLM修了のエリートで、昨年7月18日、総長就任の際の記者会見で、「20年、30年先を見据えて、検察改革を進めたい」と、述べた。

それは、同時並行で進められている法制審議会での刑事司法改革を意識したもので、「無理な捜査をしないですむように、新たな武器を手に入れるまでは、寝たふりに徹する」ことを意味した。その結果、得られた武器が司法取引である。

犯罪解明の協力者にして供述させる見返りに、起訴や求刑の軽減を約束する――。これまでの捜査手法を捨てたうえ、無理な供述を取らせないために録音録画する可視化が採用される以上、司法取引は新しい捜査手法確立のためにも必要だった。だが、欧米で採用されている司法取引には、自分の罪を減じようとして虚偽の供述をするなど、弊害も目立つ。

そうした批判を避け、政界を味方にする、少なくとも敵に回さないという意味もあり、大野検事総長ら検察首脳は、特捜最前線の検事たちに、政界をターゲットにするような独自捜査をさせなかった。

渡辺喜美・元みんなの党代表、小渕優子・元経産相の政治資金規正法違反事件のように、告発を受け、受理したものはあったが、大きく展開させることなく、不起訴もしくは在宅起訴で済ませている。