日本の外交をおかしくしている真犯人の名前

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邦丸 インテリジェンスの世界で、佐藤優さんはいろいろな国々のインテリジェンスのエキスパートとお付き合いがありますよね。各国のインテリジェンス担当者って、日本のことを今、どういうふうに見ているんですか。

佐藤 ひと言で言うと、ものすごい大戦略があってやっているんだ、と見ていますよ。

要するに、過去にこういうふうにやっていた例は、アドルフ・ヒトラー。ヒトラーは、日本とイタリアと「共産主義は許さない。日独伊で三国防共同盟をつくろう」と、それで共産主義ソ連の浸透を防ぐということをやっていた。しかし、一方ではソ連と独ソ不可侵条約を結んで、お互いに絶対に攻めないということをやった。そのとき、平沼騏一郎内閣は何をやったか。「欧州情勢は複雑怪奇」と言って辞任したわけですよね。そのヒトラーに近いような、日本は何か大戦略でも持っているんじゃないかと思って見ていますよ。

邦丸 実際、どうなんですか。

佐藤 実際は大戦略ではなくて、杉山晋輔さんという人が全部やっています。

邦丸 外務審議官。

佐藤 鈴木宗男さんとも私とも非常にご縁が深い方で。

邦丸伊藤 あははは。

佐藤 この方がいなければ、鈴木さんも私も小菅ヒルズで修業することはなかった。杉山さんは当時は、対ロ関係を進めることには非常に消極的だったのに、今は安倍さんの意を汲んで、とにかくアメリカと構えてでもロシアを大切にする。それは、事務次官に出世したいからです。風の便りでは、12月ぐらいにその野望は叶うんじゃないかということですけど。

他方、アメリカともバランスを取らなければいけないから、ロシアに対してキツいこともやる。あっちにはこう言い、こっちにはこう言い、自分は別のことを考えて、行動はそれとは別。彼はそういうことを組み立ててやっているんですよね。それで今の日本の外交は、ものすごい異次元外交みたいなことになっているわけです。

邦丸 収拾できるんですか。

佐藤 収拾まで考えてないでしょう。事務次官になったところで、全部凍結するんじゃないですかね。

邦丸 それは国際情勢が許さないんじゃないですか。

佐藤 国際情勢が許さなくても、オレが許す、と。

邦丸 ぐふふふ。

佐藤 オレの利益が外務省の利益で、それが国益だ、という同心円を描いていますから。往々にして偏差値エリートというのは、そういう勘違いをする。そういうのがたくさんいます。同心円の世界ですから、本人においてはぜんぜん問題ないんですよ。

邦丸 そんな危ない・・・。

佐藤 危ないですよ。久しぶりに危ない外交が起きているわけですよ。

伊藤 そんなに危ないんですか。

佐藤 危ない、危ない。だって考えてみてください。2540億円の新国立競技場の話でも、これはもう変えられないと言っていたじゃないですか。ところが、政治決断で変えられるわけでしょ。ということは、裏返せば辺野古だって、安保法案だって、政治決断で変えられるということですよね。

そういうような議論になるということがわからないわけですよ。ということは、この飛行機の金属疲労が起きているということですよ。だから、その辺の問題でトンチンカンなことをやっている政権が、対ロ外交で明確な戦略を立ててきちんとやれるわけがないじゃないですか。全体がくたくたに疲れているんですよ。

・・・この続きは、佐藤優「インテリジェンスの教室」号外(2015年7月22日配信)に収録しています。

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