新白河原人09 丸太小屋をつくる1 基礎
〜まずは栗の木の柱を立てる

【特別公開】守村大『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

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丸太小屋をつくる1 基礎

雑木林の中にポッカリと穴があき、私が無遠慮に整地した生活領域が、のっぺりと広がっている。

小枝を拾い、ガシガシと地面を引っ掻いて小屋の位置を画し、その中にぽつねんと立ち、完成した丸太小屋を頭の中に思い描いている。これで設計はおしまい、図面などない。

根拠のない自信と楽天を頼りに、丸太小屋を基礎から屋根のてっぺんまで、一人きりで建ち上げようと企てている。正直、不安。ともかくも、前に進むという衝動を信じて、それに身をまかせている。

基礎は、古代縄文の掘り立柱式で栗の木の柱にしようと決めている。青森市の三内丸山遺跡を訪れて、4500年の時を経てもなお木質を保って竪穴に遺る栗の木に仰天した。

コンクリートよりも木の方がカッコイイという美意識と、4500年はともかくも、私が生き長らえている間はもつだろうという信頼を、栗の木の基礎柱に委ねる。末口30cm、長さ2mの栗の丸太を十数本手に入れた。

さて皮剥き。これが芋や玉ねぎの皮剥きとは、はなはだ趣を異にして、厄介極まりない。栗の丸太に組み付き、バールだの、ハンマーとタガネだの、鍬なんかも使ってみたりして、あまりの難儀に癇癪を起こしながらも、『巨人の星』の主題歌を唄い己を鼓舞し、潰れた手の平のマメをジッと見つめて「なんじゃこりゃあ」とヘタクソな松田優作の真似で気を紛らわし、ヘトヘトになって、半月もかけて剥いたのでございます。

而して、この辺りの凍結深度よりも確実に深い竪穴を掘り下げて、基礎柱として埋め込んだ。16本の栗の柱が整然と立ち並ぶ姿は戦士の隊列のようで頼もしい。

「これでいいのだ」

と、バカボンのパパの口真似でつぶやくと不安が払拭されて、向後の作業が楽しみになり、ブルルと武者震いに揺すられた。

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(つづく)

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守村 大(もりむら・しん)
1958年生まれの漫画家。モーニング(講談社)にて連載された『万歳ハイウェイ』『あいしてる』『考える犬』など、代表作多数。現在東北新幹線・新白河駅から車で10分の里山で開墾生活をしながら、モーニングにて『新白河原人』の漫画版『ウーパ』を連載中。

守村大・著
『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

講談社 定価:1,500円(税別)

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