新白河原人06 抜根バッコン
〜古株を引き抜く罪の意識

【特別公開】守村大『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

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抜根バッコン

下刈り、伐採の次段は“抜根”。小屋および耕作予定地のジャマな切り株を、根こそぎ除去してしまおうという身勝手な魂胆だ。

“抜根”なるコトバは広辞苑に載ってない。“根掘り”というイモでも掘るごとき、のどかな言辞があてられている。ネホリよりバッコンの方が実感をともなう行為であると断言する。

ここで大物の道具登場。コマツのPC40、車両重量4tのユンボ。自家用じゃよ。年式が古くかなりくたびれているが、トラクター、除雪車、はたまたクレーン、フォークリフト代わりになって、数多の局面で無尽の活躍をみせる必需の道具となっている。

さて、目前に切り株ひとつ、ただ今よりこのものを抜根する。

伐採したのは30年生程の木だが、その株元の径は1mを超えている。幾度と伐られ、その度に萌芽再生を繰り返した古株で、その樹齢はゆうに百年を超えると思われる。可憐に咲いた野の花を手折ることで罪を感じる繊細さなど持ち合わせてないが、百年を超えて地に根を張ってきた樹木を引き抜く罪の意識は塗り込めようがない。

一気にカタつけてバックレちまうに如くは無い。「ゴメン」と白々しく詫びて、ガゴゴとユンボを起動し、バケツのツメを引っ掛けて前後に揺するもビクともせん。ならばと株の周りを掘り下げて挑んでも揺るぎない。さらに掘り、太い根をムキ出しにしてチェーンソーで根切り。もはやこれまでだろうと強引に抜きにかかる。

おわっ、たわわっ、ビビったーっ。重機ごとひっくり返りそになった。古株は見えないところに深く根をめぐらせ大地と共にあり、4tのユンボなどものともしない。掘る、掘る、掘る。半日もかけてようやく引き抜いた。現場には爆心地のごとき大穴がポッカリと空いた。

作業中えんえんと罪の意識に苛まれ続けてヘトヘトになった。バッコンはやりたくねー、シンドイすよ。

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守村 大(もりむら・しん)
1958年生まれの漫画家。モーニング(講談社)にて連載された『万歳ハイウェイ』『あいしてる』『考える犬』など、代表作多数。現在東北新幹線・新白河駅から車で10分の里山で開墾生活をしながら、モーニングにて『新白河原人』の漫画版『ウーパ』を連載中。

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講談社 定価:1,500円(税別)

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