「なぜ?」では常識は覆せない。 究極の“ダイエット理論”を生み出した科学者のシンプル発想術
予防医学研究者・石川善樹に聞く
石川善樹さん 撮影:大月信彦

「健康」は人が生きていく上で欠かすことができない。

健康や医療、介護などの領域は、近年になってウェアラブルデバイスやビッグデータといったテクノロジーの影響を受け、「デジタルヘルス」と呼ばれ注目を集めている。

健康とは何も、身体に関することに限らない。健康の中でも、「心の健康」という課題に熱心に取り組む人物がいる。心までケアすることは、病気を未然に防ぐ「予防医学」を実現する上で非常に重要だという。

その人物は、予防医学研究者として、そして起業家として活躍する石川善樹さん。今回は新宿360°大学に登壇した石川さんによる、「幸福」と「健康」の関係についての話を紹介する。

ダイエットにイノベーションを起こす

私は予防医学研究者として「幸福」と「健康」を科学的に研究しています。それだけ聞くとちょっと怪しいですね。あまり若者が選ぶ研究分野ではないかもしれません。私の父は、瀬戸内海の島で医者をしていました。子どもは私しかいないような小さな島で、唯一の医者として日々働いていたのです。

そんな父親が繰り返し私に言っていたのは「医者にだけはなるな」ということでした。人は免許を持つとそれに頼ってしまうから、本当にやりたいことができたとき、免許が邪魔になる可能性がある、と。では、自分のやりたいことは何か。それを子どもの頃からずっと考えていました。

大学生の頃、「彼女を作る」というのが私のやりたいことでした。私はいかに女性の課題を解決できるかに関心を持ち、女性の課題を知るために国会図書館に通い詰めて、女性誌を読み尽くしたのです。結果、多くの女性にとっての関心事であった「ダイエット」に関心を持つようになり、次第に女性誌のみならず、医学ジャーナル等も読むようになりました。

ダイエットの歴史は古代ローマまで遡ります。古代ローマには、ガレノスという最初のダイエット法を考えた人がいました。そのダイエット法は、まず運動をすること。そして汗をかいたら、風呂に入ること。風呂を出たら身体にいいものを食べ、かつ食べ過ぎないようにすることでした。

みなさんお気づきだと思うのですが、なんと、古代ローマのダイエット法は今と変わらないのです。つまり長い間、ダイエットにイノベーションが起きてない。私はそこに強い関心を抱くようになりました。その後、修士課程に進んでダイエットについて研究を続け、12年かけて事例を集めて「Di理論」というダイエットの体重変動に関する理論をまとめました。このDi理論は、『最後のダイエット』(マガジンハウス)という本にわかりやすくまとめていますので、気になる人は手にとってみてください。