原発に代わる電力は本当にないのか? 原発再稼働容認派の研究者に学生が直撃
乙武塾エネルギー講義Ⅱ:竹内純子先生

3.11以降、原発の是非が議論されていますが、何が正しくて、何が間違っているのか、いまだに真実が見えません。そこで、二十歳前後の若者が集う乙武塾では、識者に学び、日本のエネルギー政策のあり方について考えます。第一回は、NPO法人国際環境経済研究所主席研究員である竹内純子さんを講師にお招きし、前編では日本のエネルギー政策の歩を学んできました。後編では、これからどうするべきなのかを考えていきます。

竹内純子先生と乙武塾の学生たち

原発は事故リスクを考えると経済的ではないのでは?

<学生からのQuestion.3>
竹内先生は原発再稼働容認派だということですが、原子力発電には事故賠償金や廃炉の費用など様々な費用がかかり、経済的でないという試算もあります。これについていかがお考えですか。

<竹内先生からのAnswer.3>
ある電源が経済的かそうでないかを語るには、各電源の1KWh あたりの値段を試算してそれを比較する必要があります。

政府は今後の電源構成を議論するために、各電源のコスト試算を行いました。原子力発電には、福島事故の経験も踏まえた事故リスク対応費や立地対策の交付金、研究開発費など様々な費用を含めましたが、原子力発電は順調に稼働すれば発電量が膨大なので、試算の結果では1kwhあたり10円程度と最も安価な発電方式となっています。原子力は高いはず、というイメージだけでは、実のある議論はできません。

再生可能エネルギーは、2030年までの技術開発や普及によるコストダウンを考慮に入れても、例えば陸上の風力発電は1kwhあたり15円です。さらに気をつけなければならないのは「全量固定価格買取制度」という落とし穴です。日本は再生可能エネルギーの普及策として善良固定価格買い取り制度を導入しましたが、競争原理が働かず消費者負担のコントロールがききません。再生可能エネルギーの事業者が発電した電力は全量、しかも固定価格で電力会社が買い取るという義務を法律で課し、その分の費用は消費者が負担することになるのです。

その上負担額は事業者の増加につれ年々増えていくため、現在は月1,000円程度の上乗せであっても将来月1,500円、2,000円と増えていく可能性があります。しかも不満が出て制度をやめよう、ということになってもこれまでの事業者には20年間買い取る約束をしてしまっているため、簡単にはやめられません。

さらに、追加的コストも必要になります。太陽光発電や風力発電は、稼働率が低いだけでなく、変動が激しいのです。こうした不安定性を吸収するには、大きな需要地に再生可能エネルギーの電気を運んで使うようにする必要があります。北海道や東北の一部などの適地に風力発電が多く入った場合、北海道と本州を結ぶ送電網の建設などに1.7兆円もかかってしまいます。再生可能エネルギーはコスト負担の問題をしっかり考えないといけません。

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