原発の是非を問う前に、知っておきたい「日本のエネルギー政策」の基本
乙武塾エネルギー講義Ⅰ 竹内純子先生

エネルギー政策を学ぶ

3.11以来、原発に対する不安を声高に叫ぶ人々が一気に数を増しました。一方、未曾有の事故を目の当たりにしても、原発を再稼働すべきだと主張する人々がいます。いったい、何が正解で、何が不正解なのか。巷に流布する言説を追っていても、いまひとつ真実が見えてこない――。そう感じている人は、決して少なくないように思います。

そこで、二十歳前後の若者が集う乙武塾では「エネルギー」をテーマに勉強していくことにしました。「原発の是非」という二元論ではなく、日本で使用するエネルギーをどのように賄っていくべきなのかを考えていきたいと思います。

第一回は、NPO法人国際環境経済研究所主席研究員である竹内純子さんを講師にお迎えし、日本のエネルギー政策の歩みについてご講義いただきました。竹内さんは以前東京電力に勤務し、自然保護活動や地球温暖化問題といった環境の観点からエネルギー政策にかかわってこられた方です。

竹内純子先生と乙武塾の学生たち

時代によって変わる、日本のエネルギー政策

<学生からのQuestion.1>
福島第一原発事故以来、原発賛成派と反対派の対立が一層激しくなっています。二項対立で考える前に、僕たちは「日本のエネルギー政策」を知る必要があると思います。日本のエネルギー政策の重点はこれまでどこに置かれてきたのでしょうか。

<竹内先生からのAnswer.1>
原子力発電も再生可能エネルギーも、電気を作るための手段でしかありません。その前にエネルギーをどういうバランスでどう確保していくかの全体像の考え方を整理する必要があります。

エネルギー政策の基本は、安定供給・安全保障(Energy Security)、経済性(Economy)、環境(Environment)の3つを合わせた3Eです。

まず、エネルギーは必要なときに必要な量を確保できなければいけません。健康で文化的な生活を送り、かつ社会が発展していくためにはどうしても「エネルギーの安定供給」が求められます。

しかし、お金持ちしか使えないという価格では人々の生活が成り立たないので「経済性」も重要です。

そして、地域住民の健康被害や温暖化などの問題を引き起こさないよう「環境」への配慮もしなければなりません。

3Eのバランスをとる、と言うと一言で終わってしまいますが、そもそも3Eが同じ重みというわけではなく、やはり安定供給・安全保障と経済性があって、初めて環境性に配慮する余裕が出るものなので、2E+Eと言ったほうが正確かもしれません。

3Eのバランスをどうとるかは、その国の資源の量や産業構造、人口、気候など様々な条件によって異なります。例えば、「地熱発電で発電量の多くを賄うアイスランドを見習え」という声がよくあがるのですが、人口30万人程で漁業中心のアイスランドと、人口1億2千万人、製造業外貨を稼ぐ日本を比較するには無理があります。

同じ日本でも、時代によって、3Eの重点の置かれ方が変わってきました。