新白河原人05 伐採2 伐木ドミノ
〜山の仕事は段取り八分

【特別公開】守村大『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

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伐採2  伐木ドミノ

“山の仕事は段取り八分”。山仕事の8割は下準備、横着せずに十分に対策して作業すべしという、戒めを含んだ先人の金言です。それほどに自然相手の仕事は危険をはらんだ想定外の事態が起こりうる。

前回の伐採では伐木に恐怖の添い寝をされた。人は失態に学び慎み深くなる。万が一の逃げ道の安全を確保して作業に臨む。段取り十分に受け口を切り反対側から追い込むと、伐木はゆっくりと確実に狙い定めた方向に倒れ込んでいく。

ほほう、と私の練達に目を細めて感心していると、ドシャと半端な音を残し、伐木は斜めに傾いだまま中空に浮いている。何事じゃ。見ると樹幹がとなりの木に引っ掛かっている。かあっ、想定外。

実は“木掛かり”という密生林の伐採ではありがちな事態にすぎないのだが、私には初体験。細い木ならともかく、チョイ太くなるともう人力ではビクともしない。抱きついて持ち上げてみたり、蹴飛ばしてみたりとジタバタしても無駄。何せ相手は数百キロの生木。あきらめて、寄り掛かられている木の伐採に臨む。

頭上の掛かり木が落下してきそうな不気味な圧迫感の中で、ビビリヘッピリの作業。伐木は掛かり木共々傾いでいって、あれれ、さらにとなりの木に掛かる。想定外のダブルでヘコむ。

ヘコんでいても何も解決しないので、ヤケクソ気味に立ち直り、3本目の伐採に臨む。ヤケクソは先人の戒めにもとる危険な心理といえる。なんてこった、またまた掛かり木、“伐木ドミノ”状態。

たはは……と自嘲気味に笑い、腕組みしても方策は浮かばない。頭を抱えた両手が中空を盆踊り風にさまよう。お手上げです。

突然の轟音と地響き。自重により掛かり木がなだれて一気に落下。スゲー落下。スゲー迫力。

30m程も退避して冷静に途方にくれていた私は、少しく賢くなっているといってもいいよね。

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守村 大(もりむら・しん)
1958年生まれの漫画家。モーニング(講談社)にて連載された『万歳ハイウェイ』『あいしてる』『考える犬』など、代表作多数。現在東北新幹線・新白河駅から車で10分の里山で開墾生活をしながら、モーニングにて『新白河原人』の漫画版『ウーパ』を連載中。

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講談社 定価:1,500円(税別)

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