新白河原人04 伐採1 添い寝
〜危うくコナラの木の下敷きに

【特別公開】守村大『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

←新白河原人00「まえがき」はこちら

伐採1  添い寝

山の恩恵にあずかってラクしてケチに暮らそうと考えている。その立場は“寄生者”だ。この山に巣食うムシ・トリ・ケモノ共となんら変わらない。

さて伐採。小屋や耕作地などの生活スペースと、暖房などの燃料を確保するために山の木を刈る。おっと。その前に役所にて“宅地転用”なる認可を申請し、“開発許可”を取得せねばなりません。

なんとなれば、山林という地目に住居を建てて生活することは、国法にて規制されている。つまり、公的にいえば私は“開発者”てことになる。“寄生者”と“開発者”では行動様式も心構えもまるで違う。「どっちなんだオレ」て悩む。

私は今チェーンソーの刃をコナラの木の幹の根元にあてがい、容赦なく伐り倒そうとしている。伐採は恐い。キケンだし倒伐という行為そのものにビビる。チェーンソーは数十年の星霜を重ねて育った木を、数十秒という刹那で伐る文明の利器。

「ゴメンネ」と白々しくも、けっこうマジで詫びる。手刀まで切る。おじぎまでしたりして。意を決してアクセルを握ると、マスト57ccのエンジンがけたたましく唸り、切り屑を散らしながら幹に食い込んでいく。

手順は単純。まず、倒したい方向に“受け口”を刻む。おっ上出来じゃん、カエルが口をあけたみたくイイカンジの受け口が刻まれている。次に反対側から“追い口”を刻んでやると、コナラはバランスを失い、メキキと軋み、かしいで……なんてこった、こっちに向かって倒れ込んできやがった。

あわててはいけません。こんなこともあろうかと、ちゃんと逃げ道を考えて作業に入るのは伐採の常識。が、初心者はやっぱしあわててしまって根っこにつまずいてコケた。ドザバリドドーンとコナラの木が添い寝してまいりました。

ショックで固まり、しばらく仲良く寝てました。

次へ→

『新白河原人』連載一覧はこちら→

守村 大(もりむら・しん)
1958年生まれの漫画家。モーニング(講談社)にて連載された『万歳ハイウェイ』『あいしてる』『考える犬』など、代表作多数。現在東北新幹線・新白河駅から車で10分の里山で開墾生活をしながら、モーニングにて『新白河原人』の漫画版『ウーパ』を連載中。

守村大・著
『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

講談社 定価:1,500円(税別)

福島県の山中で自給自足を目指す漫画家のイラスト&エッセイ!
冷暖房費・0円。年間食費・約20万円。東京ドーム1個分の雑木林を切り拓き自給自足を目指して暮らす漫画家のスローでもロハスでもない奮闘雑記

 => Amazonはこちら
 => 楽天ブックスはこちら