新白河原人03 下刈り2 蜂の巣窟
〜作業というよりもはや苦行

【特別公開】守村大『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

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下刈り2 蜂の巣窟

自分ちでプチ遭難し半ベソで途方に暮れていると、ブウンと不気味な羽音がする。見上げると数匹のスズメバチが、私の頭上を旋回して飛び、カチカチと大顎を軋ませて威嚇している。近くに巣があるらしく、これ以上近づくと刺すぞテメーと警告している。

仰ぎ見ると樹冠が交差して庇になった下んとこに、特徴的な甕状の巣があって、ウジャウジャと蜂共がたむろしている。くわばら、くわばらとジジクサク退避。

もう安心と一息ついたところにまたもやスズメバチ。さっきのより小型のやつがブンブンとまとわりついてくる。近くの籔の中にでも営巣していると思われる。くわあっ。たまらん、なすすべない、逃げるにしかず。 

スズメバチの恐怖が遭難の焦りを払拭してしまった。注意深く観察すると、あっちの茂み、こっちの灌木の中に釣り鐘状のアシナガバチの巣が吊り下がり、蜂共が活発に飛び回っている。お山は蜂共の巣窟になっている。

今まで襲われなかったことに胸をなでおろす。アブネー、何しろアナフィラキシーショックとかで死んでしまう場合もあると聞く。ブウン……。蜂でなく車のエンジン音。ひ弱な漫画屋は、道路のごく近所でよちよちと迷子になっていた。

作戦変更。刈り払い機を鎌に持ち替えて手刈りで下刈り再開。なんとなれば、刈り払い機ではエンジン音にかき消され、蜂の警告音が聞こえないし、不用意に蜂の巣をなぎ払って逆襲される危険があるもんね、考えるだに恐ろしい。

地べたを這って刈り進む。こうなると作業ていうより苦行。刈り払い機を振り回している時は気付かなかったが、山中は鳥共の声がちゅんちゅらちゅんちゅらとやかましい。足下にダンゴ状のウサギの糞が落ちている。こっちの子犬サイズの糞は何者のものだろう。

お山はムシだのトリだのケモノだのを養っている。私も仲間入りをさせてチョね。ああ、謙虚な私。大事だよね、新入りだし。

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守村 大(もりむら・しん)
1958年生まれの漫画家。モーニング(講談社)にて連載された『万歳ハイウェイ』『あいしてる』『考える犬』など、代表作多数。現在東北新幹線・新白河駅から車で10分の里山で開墾生活をしながら、モーニングにて『新白河原人』の漫画版『ウーパ』を連載中。

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講談社 定価:1,500円(税別)

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