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【二宮清純レポート】首位打者を目指して今日も打つ 秋山翔吾(西武ライオンズ)が大化けしたのはなぜか?

2015年08月08日(土) 週刊現代
週刊現代

高校は県大会止まり。大学も全国的には無名。決して目立つ選手ではなかった男が、今季ついに開花した。秋山は努力も苦労も惜しまない。そうやって育ててくれた、母の姿を見てきたのだから。

昨季までとは別人

一流と超一流の差は、どこにあるのだろう。それは記録なのか、それとも記憶なのか。

野球の日本代表「侍ジャパン」に呼ばれたくらいだから、彼が一流であることは言を俟たない。

しかし、昨季まではいまひとつインパクトに欠けた。走攻守三拍子揃った好選手。評価はその域を出ていなかった。

三拍子揃う、とは野球関係者が野手を褒める時の常套句だが、その口ぶりは、どこかおざなりだ。全てソツなくこなすが、突出したものがない—。私にはそう聞こえる。

超一流の域にまで行けるかどうかは、まだわからない。しかし彼が一流という名の手垢のついた評価枠から一歩、前に踏み出したことは間違いないようだ。

秋山翔吾、27歳。埼玉西武ライオンズ、外野手。

6月24日現在、打率3割8分1厘。2位の柳田悠岐(福岡ソフトバンク)に6厘の差をつけている。

去る6月13日、本拠地・西武プリンスドームでの東京ヤクルト戦では初回、石川雅規の内角シュートをゴロでセンター前に運び、NPB史上3位のペースとなる63試合目で100安打を達成した。

「ラッキーなところに飛んでくれました」

会心の当たりではなかったが、バッターにとっては不利な2-2のカウントから、かつて苦手としたサウスポーを攻略したところに成長の跡が見てとれた。腕をたたんでコンパクトにバットを振り抜いてみせた。

このヒットを含めサウスポーに対する今季の打率は実に4割1分3厘。左を苦にしない左バッターといえば、近年ではイチロー(マーリンズ)や松井秀喜の顔が思い浮かぶ。秋山もレジェンドへの階段を駆け上るのか……。

入団から4年間の打率は2割6分6厘。キャリアハイは2013年の打率2割7分、13本塁打、58打点、13盗塁。この年、初めて全試合に出場した。数字を見る限り、凡庸ではないが、非凡という程でもない。

今季、〝大化け〟するまでは、どんなバッターだったのか。

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