新白河原人00 まえがき
〜余はいかにして「新白河原人」となりしか

【特別公開】守村大『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

都市から地方へ、物質的豊かさから精神的充足へ――齢47にして、ライフスタイルを180度激変! 福島県の山中で自給自足を目指す漫画家のスローでもロハスでもない奮闘雑記を1日1話ずつ25日連続で特別公開!

まえがき

山に暮らしはじめて、はや6年目。

前世紀の末あたりから、せわしない都市生活に尻のすわりが悪くなり、当時やっていた連載のケジメがついたところで、えいやっ、ヨメと犬を引きずり、地方都市の外れの放置林に入植し、自力で開墾し居住区をつくり、生活を営みはじめた。

こんな生活を巷では「田舎暮らし」というらしいが、自分の中にはそんな感覚は全くない。

北海道から沖縄まで同様のコンビニ、スーパー、ファストフード店が展開していて、旅先でバイパスを走っていると、既視感に幻惑され、自分が今どこにいるのか不明になる。

日本中、同じ情報と開発になめつくされてしまい、かつて「田舎」といわれた、のどかで、多少泥くさい生活感は心細くなり、廃れつつある。

私も買い物は車で5分程の街のスーパーやホームセンターで済ます。なんと、新幹線の駅までも10分とかからない。

雲行きの怪しい地球環境の未来や、快楽に行き詰まって迷う社会を人並みに憂うけれども、私は文明を批判するものでも、原理に頑なな自然主義者でもない。山暮らしも高邁な思想性や哲学に基づかない。

それは単純な選択。アスファルトよりも土、灰色のコンクリートよりも緑の木々の中で暮らしたい。

携帯やパソコンの取説の分厚さに、便利よりも面倒を覚え、効率・利便イコール快適てのが嘘の気がした。

時間に追われ忙しく働くより、シフトダウンして生活を切り詰めたほうが、より安楽なのではあるまいか。

お金をかけずに自分の心と身体の力を試して遊び、生活するほうがカッコイイ気がする。

このレポートは、欲深く、浅ましい凡夫が、無知、無力のままに身勝手な理想を抱いて放置林に入植し、安心と幸福を求めて、遊び、悶え、あがいた物事のいたって正直な記録である。 

守村 大

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守村 大(もりむら・しん)
1958年生まれの漫画家。モーニング(講談社)にて連載された『万歳ハイウェイ』『あいしてる』『考える犬』など、代表作多数。現在東北新幹線・新白河駅から車で10分の里山で開墾生活をしながら、モーニングにて『新白河原人』の漫画版『ウーパ』を連載中。

守村大・著
『新白河原人 遊んで暮らす究極DIY生活』

講談社 定価:1,500円(税別)

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