不正・事件・犯罪
過去には数千億円の相場を演出
「最後の大物」摘発で
仕手の世界に幕が下りる

【PHOTO】gettyimages

「兜町の風雲児」と呼ばれた男

東京地検特捜部の「秋の陣」になると言われているのが、長く「兜町の風雲児」と呼ばれた加藤暠氏(74)が、化学メーカーの新日本理化(東証一部)で行ったとされる株価操縦事件である。

証券取引等監視委員会が、今年3月11日、金融商品取引法違反(風説の流布)の疑いで、株サイトを運営する「般若の会」を強制調査しており、現在、関係者の事情聴取が急ピッチで進められている。

「般若の会」の代表が加藤氏で、情報発信の株サイトが「時々の鐘の音」である。もともと信仰心に厚く、神社仏閣から道端の道祖神にまで手を合わせるという加藤氏だが、2011年11月1日、「時々の鐘の音」に「再びの邂逅」と題した、般若の会の立ち上げを伝える記事を投稿。「般若とは『仏の智慧』を意味します」としたうえで、加藤氏は会の趣旨をこう説明した。

「仏の智慧を学ぼうとする同好会ですので、会費を徴収する際、皆様からお金をお預かりするようなことも一切、行っておりません。秘密の会員も存在しませんし、会費を払ったら特別の情報が貰えるということも絶対にありません」

しかし、中身は十分に生臭い。加藤氏はこう買い煽った。

「そして『今日の今』2011年――東日本大震災によって株価が200円台で低迷し、空売りが異常に膨らみ、兼松日産農林のときと同じように大相場になる雲行きを呈してきた銘柄があります」

兼松日産農林は、1995年の阪神・淡路大震災の後の株式市場閉塞時、加藤氏の仕掛けで急騰した銘柄である。その“再来”を予言、見事、その通りになった。東日本大震災の直後に66円の安値をつけていた新日本理化株は、加藤氏が書き込みを始めた頃から上昇基調を描き、12月8日の取引時間中に915円と年初来高値を記録、9ヶ月で13倍以上に“大化け”した。

ネットの書き込みが「風説の流布」に該当し、株価操縦をもたらしたというのであれば、ネット上は「風説の流布」だらけ、である。それを証券監視委が、特捜部への告発を前提とした特別調査課で取り上げたのは、相手が加藤氏だったからだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら