元手をかけずにスーパーボウルを"ジャック"したボルボの画期的なキャンペーン
カンヌライオンズ2015レポート【4】
カンヌ広告祭のゲストとして登壇したアル・ゴア元米国副大統領

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文・石井うさぎ(博報堂クリエイティブディレクター)

圧倒的な広告効果 ボルボのCM

カンヌと言えば、フェスティバルの正式名称に「Creativity」という言葉が入っているように、あくまでクリエイティブ表現の質の高さを審査、評価する場であって、その広告効果が最重要視されるわけではない。

ところがただ一つ、「クリエイティブ・エフェクティブネス部門」だけは、その広告が売上や認知度、企業好感度などをどれだけ向上させたか、効果が徹底的に審査される。

この部門にエントリーできるのは、前年のカンヌでショートリスト(第一次審査で入選したもの)以上になった作品。つまり、前年の時点ですでにクリエイティブのレベルが優れていると評価されているので、1年後は、申し込めばその広告効果、つまり結果が厳しく見られるというわけだ。

今回このグランプリとなったのが、昨年、フィルム部門とサイバー部門でグランプリを獲ったボルボの「ライブ・テスト・シリーズ」(Live Test Series)。

その中で最も有名なのが、エンヤの曲が流れる中、2台のトラックが並んで後ろ向きに走行し、それぞれに俳優ジャン=クロード・ヴァン・ダムが片足ずつかけて空中で180度に開脚するCMだろう。ご覧になった方も多いと思う。ボルボのパワーステアリングシステム「ボルボ・ダイナミック・ステアリング」の高度な安定性と正確性を実証するために行ったキャンペーンだ。

Volvo “Volvo Trucks: Live Test Series”

どれだけ効果が出たのか詳細な数字はわからないが、審査員長のウェンディ・クラーク氏は「クリエイティビティと広告効果が複合的に絡み合って最高点をマークしたエントリーであり、クリエイターもマーケターも手を取り合って喜ぶようなアウトプット」と評している。昨年の2冠に加えて、今年もグランプリを獲ったのは大変な偉業である。