"トレンディドラマ"の成功体験はもう忘れよう!
限界集落を描く『ナポレオンの村』は連ドラの新潮流を作れるか?

TBSホームページより

限界集落に切り込んだ野心作

TBSの連続ドラマ『日曜劇場/ナポレオンの村』は7月19日放送の初回で12.7%の視聴率を得て、上々のスタートを切った。見る側に期待されていたからに違いない。ところが、同26日の第2話の視聴率は7.4%に急落。視聴者が見たかった作品とは少し違っていたためだろう。

作風の軸足が定まっていないところに視聴者離れの一因がある気がする。実話に基づいたストーリーという触れ込みなのだから、シリアス調で押し通すべきだと思うのだが、主人公の都庁職員・浅井英治(唐沢寿明)を取り巻く市職員たちの言動はコミカルで単調。作風が曖昧化してしまっている。たぶん、制作者側がシリアスで押し通すと地味になると心配したのだろうが、中途半端な作風になっていると思う。

市職員役には劇作家、演出家でもある岩松了(63)や劇団AUNの人気女優・千賀由紀子(43)ら実力派が配されている。単調な人物を演じさせてはもったいない。浅井が再生を図ろうとする限界集落の長老を演じるイッセー尾形(63)も個性派の演技巧者。主演の唐沢をはじめ、うまい人が揃っているのだから、第3話以降で盛り返せるかどうかは脚本次第だろう。

テーマと設定は画期的であり、間違いなく野心作である。まず、舞台が限界集落であるところが斬新だ。近年のドラマの舞台は港区、渋谷区、千代田区など都心ばかりで、下町が描かれることすら珍しい。限界集落問題が現代社会の抱える難問であることは誰でも知っているが、ドラマ界は目を逸らしてきたので、そこに踏み込んだ点は高く評価されるべきだろう。

お年寄りと農家や職人の青年たちが登場するのも新鮮。限界集落の住人たちである。世間にはお年寄りと農家や職人の青年たちが大勢いるのに、近年のドラマにはほとんど登場しない。それがドラマのリアリティー不足と画一化を招く一因になってしまい、ひいては視聴者のドラマ離れを誘発していると思っている。

平均寿命は男女とも80歳を超えたのに、ドラマの世界に登場するのは60代まで。大学進学率もせいぜい50%なのだが、ドラマの世界では大半が大卒者。おかしな現象だと思う。しかも、お仕事ドラマが台頭しているのに、登場するのは銀行、商社、病院などホワイトカラーばかり。農家や職はまず登場しない。偏り過ぎている。

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